広津和郎の作品
鎌倉文士・広津和郎の作品です。

作品名 発行年
1917
線路 1918
静かな春 1918
鎌倉日記 1918
小さな残虐 1919
波の上 1919
お光 1919
神風連 1921
生き残れる者 1924
泉へのみち 1954
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広津和郎 中央公論社
あらすじ
 私は毎年5月末から6月になると神経衰弱でイライラしがちになるのだが、初夏を過ぎ毎日変わっていく海の様子を見ていると気持ちも落ち着き逆に晴れやかになる…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・鎌倉の電灯は朝の4時30分に消えてしまいます。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
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線路 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 円覚寺の境内にいる野良犬たちはみんなビッコをひいているのだという。友人によると境内の中を通る汽車に轢かれるからだというのだ。はたしてすばしっこい生き物がそんな簡単に弾かれてしまうものなのだろうか。そんな話を聞いてからある日、私が境内を歩いていたら目の前にシマヘビが現れた。私は気味悪がってヘビを避けようと持っていたステッキで地面をたたいて脅かしたら、ヘビは線路の方へ逃げていったが、まもなくそこへ汽車がやってきてしまう…。

 作品の舞台
 円覚寺・・・和郎が境内を散歩しているとシマヘビに出会います。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
婆や 円覚寺門前にある腰掛茶屋の婆や。
円覚寺境内にいる犬。
シマヘビ 円覚寺境内にいるシマヘビ。
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静かな春 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 私の家は極楽寺坂の近くにある。そして生活に使う水は近くにある「星の井」から汲み上げている。しかし父は井戸の水はミョウバンが入っているから茶が濁ると嫌っているのだ…。

 作品の舞台
 坂ノ下・・・広津和郎邸があります。
 星の井・・・生活用水に使っています。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
広津 柳浪 和郎の父。知多半島で療養していたが和郎に呼ばれ鎌倉に住む。
和郎の母。知多半島で療養していたが和郎に呼ばれ鎌倉に住む。
広津 みつ 和郎の妻。
広津 進一 和郎の長男。1歳4カ月。
みつの妹。
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鎌倉日記 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 私は普段日記は書かないでいる。5~6年前に書いてみたのだが、どうも同じようなことばかり書いて面白みがないものになったからだ。しかし今回出版社より依頼されたので再び日記を書いてみようと思う・・・。

 作品の舞台
 安養院・・・父と母が別願寺から転居します。
 浄智寺・・・和郎は二条と出会います。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
広津 柳浪 和郎の父。別願寺から安養院に転居する。
和郎の父。別願寺から安養院に転居する。
堀江  朔 和郎の友人。ロシア文学・トルストイの研究家。
畠山 堀江の友人。
二条 堀江の友人。
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小さな残虐 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 私は友人たちと都内で飲んだ帰り道、一匹の小さな蛇を見つけた。みんな酔っぱらっていたため蛇にかまれると思い、みんなで蛇の頭を叩きグッタリとさせてしまった。今思えば残虐なことをしてしまったと後悔している…。

 作品の舞台
 小袋坂(巨福呂坂)・・・昔はこの地でも残虐なことがありました。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
和郎の友人。
М 和郎の友人。
和郎の友人。歯科医。
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波の上 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 知多半島で療養する父と母を呼んで鎌倉に居を構えたものの、妻との折り合いが悪くなかなか安定した生活が行なえずにいる。さらに妻が臨月で長男を連れて実家に帰ってしまったため、わたしは妻のもとには行かず伊豆へ旅行へ行ってしまった…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・広津和郎邸があります。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
広津 柳浪 和郎の父。
和郎の母。
和郎の兄。
広津 みつ 和郎の妻。実家は都内にある下宿屋。
広津 進一 和郎の長男。
広津 桃子 和郎の長女。生まれたばかり。
みつの妹。
和郎と狩野川で同宿した男。
爺さん 和郎と狩野川で同宿した男。
産婆 みつの世話をする産婆。
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お光 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 家に戻っても妻との折り合いが悪く居心地が悪いため、私は出版社へ行く用事を作っては、新橋の「Yカッフェ」へ通っている。カッフェでは心を癒してくれる女給たちがいるので、家へ帰ることを忘れてしまう・・・。

 作品の舞台
 山ノ内・・・和郎たちが転居します。
 別願寺・・・和郎たちと別居をする柳浪と母は、別願寺に仮寓します。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
広津 柳浪 和郎の父。
和郎の母。
広津 みつ 和郎の妻。
広津 進一 和郎の長男。
広津 桃子 和郎の長女。
叔母 赤坂に住む柳浪の妹。
お光 銀座にある「Yカッフェ」の女給。
お京 「Yカッフェ」の女給。
お由 「Yカッフェ」の女給。
おしず 「Yカッフェ」の女給。
おたえ 「Yカッフェ」の女給。
鈴川 和郎の友人。麹町に下宿。
小島 和郎の友人。
S・T 和郎の友人。
お光の弟。日本橋の某商店に奉公。
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神風連 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 中学時代、私はよくいじめにあった。「××団」と名乗っては徒党を組んで悪事を行なう輩によく絡まれたのだ。夏に鎌倉へ行った時も私は友人らと嫌な輩に絡まれたのだが…。

 作品の舞台
 長谷・・・夏に和郎たちが遊びに行きます。
 材木座・・・日野原たちが滞在しています。
 腰越・・・柳川の親戚が住んでいます。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
和郎の兄。
山野  潔 和郎の中学時代の友人。
高島 和郎の中学時代の友人。
真崎 和郎の中学時代の友人。
柳川 和郎の中学時代の友人。
М 麻布に住む不良少年。山野と同級。
日坂 麹町に住む不良少年。「神風連」のリーダー格。兄はブリ網「日坂網」の発明者。
日野原 麹町に住む不良少年。「神風連」のリーダー格。鹿児島生まれ。
清沼 不良少年。「神風連」のメンバー。山野と同年齢。
畔宮 日坂の旧友。
おたみ 鎌倉で和郎たちと知り合った少女。青山の実践女学校卒。
おたみの兄。長谷で療養中。早稲田の政治科卒。
お滝 山野の恋人。虎ノ門に住む女学生。
静江 新橋の芸妓。山野に惚れている。
М子 新橋の芸妓。山野に惚れている。
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生き残れる者 広津和郎 中央公論社
あらすじ
 関東大震災の日、私は横浜にいて突然電車から降ろされた。自宅がある鎌倉へ向かう列車が止まっているからだ。鎌倉の家は全壊したものの家族に大きなけがはなく、近所に住む友人で作家の田中純宅に避難しているという。家族の無事を実家に報せた後、和郎が途方に暮れていると、白ズボンの男が話しかけてきた…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・自宅が全壊し和郎の家族は近所の田中宅に非難します。
 登場人物
広津 和郎 物語の語り手。小説家。
広津 柳浪 和郎の父。
和郎の母。
広津 みつ 和郎の妻。
広津 進一 和郎の長男。
田中  純 広津和郎宅の近所に住む作家仲間。
堀江  朔 和郎の友人。ロシア文学評論家。トルストイの研究で有名。
畠山 堀江の友人。
二条 堀江の友人。小説家。
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泉へのみち 広津和郎 朝日新聞社
あらすじ
 新人雑誌記者の波多野京子は、担当する「女性の友」の取材のため鎌倉へやってきた。京子にとって鎌倉は生まれてから18年間暮らしていた街だが、母との心中未遂、戦時中の混乱などいい思い出のない街でもあった。そんな鎌倉での取材中、近代美術館の古陶展の会場で、京子は以前近くに住んでいた子爵の令息・高倉克麿と再会した…。

 作品の舞台
 長谷・・・祖父の家があります。
 雪ノ下・・・ツネ子と京子が転居します。
 由比ガ浜・・・京子が雑誌の取材に行きます。
 極楽寺・・・ツネ子は極楽寺の貸家を売却します。
 小町・・・昔高倉の家にありました。
 神奈川県立近代美術館・・・京子と高倉が再会します。
 登場人物
波多野京子 出版社「女性の友社」編集部記者。23歳。雑誌「女性の友」の担当。
波多野ツネ子 京子の母。世田谷区経堂の裁縫店の経営者。母子二人暮らし。
笹川 欣一 京子の父。吉祥寺に住むМ大学の講師。
大泉 「女性の友社」社長。
飯田 「女性の友」編集長。45歳。京子の上司。
近藤 編集部男性記者。30歳代。「女性の友」の担当。
田島 編集部男性記者。30歳代。「女性の友」の担当。
岩本キヌ子 編集部女性記者。40歳代。「女性の友」の担当。
相良 トミ 編集部女性記者。「女性の友」の担当。
水原マユミ 編集部女性記者。
根本あぐり 編集部女性記者。
金沢幸三郎 編集部男性記者。克麿の親友。
高倉 克麿 京子の友人。子爵の令息。М大学の講師。
幸三郎の父。
金沢久二郎 幸三郎の兄。
店主 経堂にあるツネ子が経営する裁縫店の大家。
縫師 裁縫店のアルバイト。27歳。
祖父 京子の母方の祖父。海軍機関大佐。
祖母 京子の母方の祖母。
ミヨ 波多野家の小女。
後藤 京子が鎌倉に住んでいた頃の隣人。
戸部  亘 波多野家に出入りする横浜育ちの遊び人。
小川 ウメ 江東区深川に住む雑誌の投稿者。21歳。オモチャ工場勤務。
ウメの妹。16歳。
良雄 ウメの恋人。
ウメの父。
角田龍太郎 作家。
上田 祖母の友人。