坂口安吾の作品
坂口安吾の作品です。
作品名 発行年
南風譜 牧野信一へ 1938
復員殺人事件 1949
街はふるさと 1950
曾我の暴れん坊 1954
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南風譜 坂口安吾 筑摩書房
あらすじ
 私が和歌山の友人の家を訪ねた際、入浴後浴室を出るとこちらを見つめる女の視線を感じた。そこでこの話を友人の牧野にすると、この辺りには女性といったら老人か子供しかいないし、君が見たのは仏像だよと言われてしまった。そして食事の後、牧野とともに見に行くと、そこには確かに木彫りの地蔵菩薩があった…。


 作品の舞台
 鎌倉国宝館・・・私は木彫りの地蔵のような仏像を、国宝館で見たことがあります。
 登場人物
物語の語り手。
友人 和歌山に住む私の友人。
漁師 友人宅の近くに住む法師。
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復員殺人事件 坂口安吾 角川文庫
あらすじ
 有楽町にある巨勢博士の事務所に小田原に住む倉田家の定夫・美津子兄妹が相談に訪れた。5年前に倉田家当主・由之の長男・公一とその息子・仁一が海釣りの帰りに轢死する事件がおき、関係者にハッキリとした殺人動機が定まらないまま戦争が始まり、捜査は止まってしまっていた。するとビルマに出征していた由之の次男の安彦が復員してきたが、右手左足を失い盲唖の状態で現れたため、本人と確認ができない状態だった。そして安彦が帰宅したその夜、由之の長女・起久子と安彦が殺害された…。
※連載中の雑誌廃刊により未完の作品となったが、後に高木彬光氏により「樹のごときもの歩く」として解決編が出版された。


 作品の舞台
 大船・・・熱海駅始発の電車の乗客の中に大船駅へ行った者が一人います。
 登場人物
倉田 由之 小田原に住む成金。63歳。土建業「倉田組」社長。漁船の船主。元・武道教師。
倉田 公一 由之の亡長男。昭和17年息子・仁一と共に轢死。
倉田 由子 公一の妻。未亡人。
倉田 仁一 公一と由子の亡息子。昭和17年父・公一と共に轢死。
倉田 安彦 由之の次男。30歳。ビルマに出征し復員。右手左足を失い盲唖の状態。
滝沢起久子 由之の長女。27歳。三次郎の妻。
倉田 定夫 由之の三男。「サクラ拳闘倶楽部」のボクサー。バンタム級の新人王。
倉田美津子 由之の次女。22歳。
滝沢三次郎 由之の秘書。起久子の夫。倉田家に同居。
三次郎の子。3歳。作品上、名前・性別が表示されず。
杉本 重吉 倉田家の下男。50歳。元・由之の武道の弟子。京城で巡査をやめ、倉田家に同居する。通称「蛸の重吉」。
杉本モト子 重吉の妻。48歳。倉田家の女中。
杉本 久七 重吉の長男。26歳。夜釣りを業としている。
杉本スミ子 重吉の長女。23歳。倉田家の女中。
土肥トミ子 由之の元妾。30歳。長野県諏訪市出身。
巨勢博士 有楽町に事務所を持つ名探偵。30歳。
矢代 寸兵 巨勢博士のバディ的存在の小説家。元・小田原住み。
島田 芳次 定夫の先輩で恩人。共産党員の闇屋。元フェザー級のボクサー。
境 ツネ子 定夫に電話をかけてきた女。後に偽名とわかる。
野村 小田原のタクシー運転手。
織田 秀吉 熱海銀座に出没する傷痍軍人。
金大祖 新宗教「龍教」の教祖。朝鮮人の老婆。
大孫 「龍教」の最高指導者。小田原に潜伏中。
大矢 小田原署刑事課警部補。捜査主任。
三村 小田原署刑事課巡査。刑事。
山口 小田原署刑事課巡査。刑事。
八雲 小田原の開業医。正義感から警察医も兼務する。
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街はふるさと 坂口安吾 筑摩書房
あらすじ
 同じ雑誌社に働く放二と記代子は恋仲になるかと思いきや、なかなかそうはならず記代子の叔父・長平は不思議に思っていた。そこで彼が尋ねてみると、どうやら放二が住むアパートには何人かの娼婦が遊びに来るらしく、そういった環境が進展しない理由のようだった。すると放二は長平に、一人の娼婦を紹介したいと言い出した…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・放二と記代子は鎌倉にいる作家のもとへ原稿をもらいに行きます。また青木礼子の実家があります。
 登場人物
大庭 長平 熱海に滞在する小説家。
北川 放二 雑誌記者。戦後、孤児となり長平が世話をする。
大庭記代子 雑誌社事務員。戦争で両親を失い、叔父の長平が親代わりとなる。
青木音次郎 実業家。長平の旧友。
青木 礼子 音次郎の妻。別居中。
戸田 音次郎の部下。
穂積 放二・記代子が勤める雑誌社の編集長。
河内 家庭雑誌の編集次長。
梶 せつ子 河内の部下。雑誌記者。
樋口 克子 記代子の友人。
木田 敏子 記代子の友人。ダンサー。
修子 記代子の友人。
ヤエ子 放二のアパートを根城にする娼婦。
ルミ子 放二のアパートを根城にする娼婦。
カズ子 放二のアパートを根城にする娼婦。
フジ子 放二のアパートを根城にする娼婦。
八重子 放二のアパートを根城にする娼婦。
管理人 放二のアパートの管理人。
オデン屋のオヤジ 放二のアパートの近くのおでん屋のおやじ。
お蝶 芸者。
夢子 芸者。
宇賀神芳則 右翼団体の顧問格。
呉竹しのぶ 作家。
海野 史学者。青木夫妻の親友。
野中 幸吉 「エンゼル」と呼ばれる造園業者。
キッピィ ジャカルタ生まれの南洋娘。女給。
テルミ キッピィの学友。
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曾我の暴れん坊 坂口安吾 筑摩書房
あらすじ
 兄の一万は学問好きで柔和だが、弟の箱王は好戦的で無類の剣術好き。母はそんな弟を箱根の別当に預け、坊主にしようとするのだが…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・母は箱王があまりにも好戦的なので、再び鎌倉に召し出されることを危惧します。
 登場人物
一  万 曾我兄弟の兄。後の曾我十郎祐成。学問好きで柔和。
箱  王 曾我兄弟の弟。後の曾我五郎時致。無類の剣術好き。
満江 御前 曾我兄弟の母。
曾我 太郎 満江の二番目の夫。兄弟の義父。曾我祐信。
河津 三郎 満江の最初の夫。故人。
工藤 祐経 幕府の御家人。三郎を殺したため、兄弟にとっては父の仇。
源  頼朝 幕府の将軍。
畠山 重忠 幕府の御家人。
二宮 太郎 兄弟の姉の夫。二宮朝忠。
三浦 義澄 兄弟の義理の叔父。
平六兵衛 兄弟の従妹の婿。後の三浦義村。
箱根の別当 幼い箱王を預かる箱根の別当。
片  貝 義澄が寵愛する侍女。
虎 御 前 大磯の長者の娘。絶世の美女。一万の恋人。