永井龍男の作品(その1)
永井龍男の作品です。鎌倉文学館の初代館長をつとめ、住居も雪ノ下にありました。
作品名 発行年
往来 1945
唐辛子 1947
ある夏まで 1949
菊と飛行機 1950
子供のアルバム 1950
水仙案内記 1950
電車を降りて 1956
蜜柑 1958
杉林そのほか 1962
1974
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往来 永井龍男 講談社
あらすじ
 2月にはいり梅の花を愉しむ季節になって、龍男は義兄の家の「探梅句会」へ出かけた。しかし彼はしばらく日本を離れ満州へ行くため、できる限り自宅にいるようにしていた・・・。

 作品の舞台
 雪ノ下・・・永井龍男邸があります。
 二階堂・・・久米正雄邸、川端康成邸があります。
 浄明寺・・・龍男が「たかし庵」と呼ぶ松本たかし邸があります。
 大船・・・剃刀を忘れた龍男のもとに、悦子が届けに行きます。
 登場人物
永井 龍男 文藝春秋社取締役。満州国新京市に向かい満州文芸春秋社の設立をすすめる。
永井 悦子 龍男の妻。
永井 朝子 龍男の長女。
永井 頼子 龍男の次女。
松本たかし 浄明寺に住む俳人。龍男の友人。
久米 正雄 二階堂に住む小説家。龍男の義兄。
川端 康成 二階堂に住む小説家。
爺さん 新京の社員寮に住む満州人の暖房焚き。
寮母 新京の社員寮に住む満州人の寮母。
後藤 満州文藝春秋社の同僚。
同僚 満州文藝春秋社の同僚。東北訛り。
馬車屋 満州人の馬車屋。
人力車引き 満州人の人力車引き。
医者 朝子の診療をする医者。
近所の住人。
近所の住人。
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唐辛子 永井龍男 講談社
あらすじ
 阿佐ヶ谷に住む牧田が鎌倉の友人宅に遊びに行った際、自宅に泊まりにきていた姪の土産に数匹の金魚を買った。そして帰宅すると、その金魚を妻と姪が寝ている間に金魚鉢にいれたため、翌朝起きた姪が「金魚がたくさん子供を産んだ」と大騒ぎになった。そんな悪戯を知った妻の八重子が、唐辛子を使って一計を案じるのだが…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・牧田の友人の家があります。
 登場人物
牧田 阿佐ヶ谷在住の男。
八重子 牧田の妻。
鳥子 牧田の姪。11歳。
友人 鎌倉に住む牧田の友人。
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ある夏まで 永井龍男 講談社
あらすじ
 昭和21年4月、南方海域へ遠征していた信太郎は広島の大竹港に着き、横須賀の瀬尾家に帰ってきた。地元では2年前に彼の戦死公報と遺骨が届けられていたため、妻のみち代は別の復員兵と結婚していたのだが…。


 作品の舞台
 大船・・・戦地から戻った信太郎を、長兄と次兄が迎えに行きます。
 稲村ガ崎・・・久野田家があります。
 雪ノ下・・・高橋宇吉宅があります。
 登場人物
瀬尾信太郎 戦地帰りの青年。
みち代 信太郎の妻。
長兄 信太郎の長兄。
次兄 信太郎の次兄。
叔父 逗子に住む信太郎の叔父。
叔母 叔父の妻。
正春 叔父の養子。中学3年生。
和尚 「昭妙寺」の和尚。
青年 和尚の息子。信太郎の中学の後輩。
手伝いの女 青年の妻。
高橋 宇吉 みち代の夫。蒲田のマーケットの店主。
高野  久 地元の戦死者。
三村 伝吉 地元の戦死者。
久野田 稲村ガ崎に住む計理士。
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菊と飛行機 永井龍男 講談社
あらすじ
 満州国新京市から鎌倉へ戻り2年が経つ私は、4歳年下の従弟・伸吾の家に厄介になっている。ようやく日曜日には釣りなどもできるようになり生活も落ちつきだした。そして一人娘の香菜子も縁談がまとまり、今日は婚約者の両親がやってくるのだが…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・私が暮らす従弟の伸吾の家があります。
 登場人物
新京から鎌倉へ戻ってきた男。従弟の家で世話になっている。
私の亡妻。
香菜子 私の一人娘。専門学校生。
伸吾 私の4歳年下の従弟。
大関 逗子に住む海軍中佐。
少年 近所の納豆売りの少年。
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子供のアルバム 永井龍男 講談社
あらすじ
 私たちが暮らす鎌倉は横須賀港が近いため、住民たちは徐々に戦火を恐れ市外へ出ていった。さらに進駐軍は贅沢な洋館を占拠し、米国軍人が暮らすようになっていた・・・。


 作品の舞台
 鎌倉・・・私が暮らす従弟の伸吾の家があります。
 登場人物
永井 龍男 文藝春秋社取締役。
永井 悦子 龍男の妻。
永井 朝子 龍男の長女。
永井 頼子 龍男の次女。
エム・コンデ 龍男が神田駿河台下で暮らした頃、近所に住んでいたロシア婦人。
フランク 神田駿河台下の牧師の息子。
セロ 神田駿河台下の牧師の息子。
ロザリー 鎌倉の近所に住む進駐軍軍人の娘。
バンビー 鎌倉の近所に住む進駐軍軍人の娘。
木見東三郎 元・海軍少将。
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水仙案内記 永井龍男 講談社
あらすじ
 私は散歩中に八幡宮の境内で書生風の青年を見かけた。ある日、その青年が低俗な紙芝居を立ち尽くしてみている姿をに気づき、私は気になっていたのだが…。


 作品の舞台
 東御門・・・私の家があります。
 鶴岡八幡宮・・・私は境内で書生風の青年を見かけます。
 天園・・・青年は散歩が好きで、天園に出かけます。
 荏柄天神社・・・古本屋で買った「支那奇談集」に影響され、私は天神社を訪ねます。
 瑞泉寺・・・私が散歩で訪れます。
 理智光寺・・・私が青年の姿を見かけます。
 登場人物
鎌倉に住む男。
青年 書生風の青年。
学生 青年の友人。
若主人 鎌倉彫「博古堂」の主人。
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電車を降りて 永井龍男 講談社
あらすじ
 定年間近となった菅沢は老後をのん気に考えていたが、彼の妻はそんな夫の態度を心配していた。しかし彼自身も次第に不安を感じてきた。そこでいつも通勤で顔なじみとなっていた会社員と話をすることになった…。


 作品の舞台
 鎌倉駅・・・菅沢は30年近く通勤のため鎌倉駅を使いました。
 大船駅・・・会社員が電車に乗ってきます。
 二階堂・・・木塚は二階堂から引っ越したばかりです。
 登場人物
菅沢 30年近く会社に勤め定年間近の男。
菅沢の妻。
会社員 通勤時に菅沢と顔なじみの会社員。
木塚 二階堂で暮らしていた学生。
若い酔っぱらい バスの乗客。
青年A バスの乗客。
青年B バスの乗客。
若い娘 バスの乗客。
女車掌 バスの女車掌。
売子 鎌倉駅の売店の売り子。
洋服男 鎌倉駅の客。
学生 鎌倉駅の客。
巡査 交番の巡査。
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蜜柑 永井龍男 講談社
あらすじ
 箱根で逢瀬を重ねてきた私は、その愛人と別れようとしていた。女には別の縁談が持ち上がっていたようだが、彼女は乗り気ではない様子だ。そして箱根からの帰り道、私たちが乗っている車に向かって黒人兵の手を振る姿を見かけた…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・女は鎌倉で車を降りようとします。
 登場人物
横浜に勤める会社員。45歳。
逗子に住む私の愛人。30歳。
私の妻。3年ほど病気で寝たきり。
長男 私の長男。
運転手 私と女が箱根から乗った車の運転手。
黒人兵 帰路で見かけた外国人兵。
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杉林そのほか 永井龍男 講談社
あらすじ
 龍男の部屋と仕事場は2階にあり、二人の娘の部屋が1階にある。しかし長女が他家へ嫁ぐことになり、次女は部屋を広く使いたいと言いだしたため、長女が使っていたベッドを2階のわたしの部屋へ上げることにした。普段布団で寝ていた龍男にとっては迷惑な話だったが、いざベッドで寝てみると非常に心地よく、夏の間には窓を開けて寝ると杉林が見えるのだ…。


 作品の舞台
 光明寺・・・私と妻はお十夜に出かけます。
 登場人物
永井 龍男 小説家。
永井 悦子 龍男の妻。
永井 朝子 龍男の長女。
永井 頼子 龍男の次女。
主人 永井邸の隣家の主人。
筒井 逗子に住む私の友人。川崎の病院で入院中。
龍男の甥。
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永井龍男 講談社
あらすじ
 狂言「月見座頭」について原稿を書くことになった私は、娘や義母が住む鎌倉で月見をするために出かけた。しかしその際、義母が亡くなってしまった…。


 作品の舞台
 由比ガ浜・・・家族そろって花火大会を見ます。
 材木座・・・娘の家があります。
 鶴岡八幡宮・・・私が八幡宮の秋祭に行きます。
 瑞泉寺・・・私は月を見に寺へ行きます。
 登場人物
小説家。
私の妻。
私の娘。
義父 娘の義父。76歳。
義母 娘の義母。
長男 娘の長男。小学4年生。
次男 娘の次男。小学2年生。
呂六 私の友人。
住職 瑞泉寺の住職。