川端康成の作品(その2)
川端康成の作品です。

川端康成
  学生時代に菊池寛に見いだされ頭角を現し、その後「新感覚派」作家として注目を浴びる。彼自身1935年に林房雄の誘いで鎌倉市浄明寺に居を移し、その後二階堂、長谷と転居した。

作品名 発行年
海の火祭 1927
ナアシツサス 1927
花束の時間 1929
十二舞姫 1929
眞夏の盛装 1930
化粧と口笛 1932
寒風 1941
名人 1942
1947
天授の子 1950
犬と話して 1954
隣人 1962
かささぎ 1963
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海の火祭 川端康成 新潮社
あらすじ
 弓子や新一たちは逗子にある海辺のホテルで避暑を満喫していた。若い男女たちは浜辺でそれぞれの出会いから新しい恋を見つけ出そうとしていた…。

 作品の舞台
 鶴岡八幡宮・・・秋子たちは八幡宮境内で行われている映画の会に行きました。
 登場人物
弓子 孤児院育ちの若い女性。
秋子 弓子の妹。
高木 新一 弓子の遊び友達。
高木 澄子 新一の長妹。
高木 朝子 新一の次妹。
立川 弓子の遊び友達。
渡瀬 菊子 朝子の友人。
渡瀬 月子 菊子の姉。
矢野 時雄 弓子の養父。神秘主義者の小説家。新一の親友。月子の恋人。
弓子の養母。
新一の母。
鳥子 新一の恋人。乗馬が趣味。
水澤 時雄の友人。小説家。
秋岡 時雄の友人。有名小説家。
伊藤 時雄の友人。新進小説家。
高橋 文壇の大家。
佐川 源吉 小学校の小使。
イギリス娘 ダンスホールの女性客。
フランス娘 ダンスホールの女性客。
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ナアシツサス 川端康成 新潮社
あらすじ
 妹の美枝子は姉が自らの美しさに酔いしれるがゆえに結婚できないことを良く思っていなかった。今日も海辺のホテルへ着いて早速浜辺へ行くのかと思いきや、自らが着飾るための海水マントを縫い始める始末なのだ…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・姉が海浜ホテルへ行ってダンスをします。
 登場人物
自らの美貌に酔いしれるナルシストな独身女性。妹から「水仙(ナアシツサス)」に例えられる。
美枝子 姉の妹。結婚しない姉を心配する。
女給 海辺のホテルの女給。
菊池  寛 有名な作家。海辺のホテルは小説「新珠」のモデル。
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花束の時間 川端康成 新潮社
あらすじ
 私とY子とS子は親友同士だが、得意分野が違うので全て気が合うわけではない。特に私とY子はいつも一緒に行動しているけれど、細かいところを見れば意見の相違がかなりあるのだ…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・私K子とY子が遊びに行きます。
 登場人物
私(K子) 活発な若い女性。水泳が得意。
Y子 K子の友人。ダンスが得意。
S子 K子の友人。海より山が好き。
K子とY子の友人。テニスが得意。
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十二舞姫 川端康成 新潮社
あらすじ
 その年の正月、頼朝の御座所の床下から一本の姫小松が生え、それを占者に占わせたところ非常にめでたいことだと知らされた。そこで頼朝は氏神に御礼をするため法楽の舞いを踊らせる12人の美女を全国から集めるよう家人に伝えたが、どうしても12人目が見つからなかった。するとようやく見つけたのが、御所に仕える女房・萬寿だった…。

 作品の舞台
 大倉御所・・・頼朝の御座所の床下から一本の姫小松が生えます。
 登場人物
源  頼朝 鎌倉幕府初代将軍。鎌倉殿。
北条 政子 頼朝の正妻。
萬寿 御所に仕える女房。
唐糸 萬寿の母。元・頼朝の侍女。頼朝を襲い土牢に入れられる。
占者 占い師。
手塚太郎光盛 唐糸の亡父。萬寿の亡祖父。木曽義仲の重臣。
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眞夏の盛装 川端康成 新潮社
あらすじ
 鎌倉のホテルの舞踏場でたくさんの男たちと踊った木谷るり子夫人。彼女は夫が亡くなる直前、ある不思議な遺言をうけた…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・ホテルの舞踏場でるり子は踊ります。
 登場人物
物語の語り手。
木谷るり子 未亡人。職業は踊り子。
木谷 るり子の亡夫。
木谷の友人。
熊娘 浅草にいる見世物小屋の踊り子。二の腕から手の甲まで毛深い。
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化粧と口笛 川端康成 新潮社
あらすじ
 留伊子は5か月前に別れたばかりの元夫・西住から次女の伊佐子の死を知らされ、早速西住のもとに駆け付けた。しかし西住は彼女に次女の死は留伊子にも原因があると責めたてた…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・小杉は夫人が滞在する逗子の別荘には行かず、フランス人女性と鎌倉のホテルに滞在します。
 由比ガ浜・・・尾竹はフランス人女性に由比ガ浜の伝説を話します。
 登場人物
西住留伊子 浅草のレビュー小屋の踊り子。西住とは離婚したが「西住留伊子」の芸名で活動。
西住 5か月前に別れた留伊子の元夫。舞踏家。舞踏服の服飾デザイナー。
西住 照美 西住の長女。
西住伊佐子 西住の次女。
尾竹 留伊子の元恋人。史学者の助手。
藤本 留伊子が所属するレビュー小屋の座元。
加山 西住の知人。フリーの舞踏教師。
小杉 横浜に住む貿易商。信州生まれ。
小杉夫人 小杉の妻。
夏子 小杉の姪。伝書鳩を持ち歩く令嬢。
ルネ・シュメエ 「ヴァイオリンの女性」と名高いフランス人演奏家。
宮城 道雄 盲目で「宮城検校」と呼ばれた日本人作曲家。
フランス人娘 小杉が鎌倉に連れてきたフランス人女性。
女弟子 西住の踊りの弟子。
社員 蓄音機会社の宣伝部員。
青木 画家。
事務員 農園の事務員。
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寒風 川端康成 新潮社
あらすじ
 ある若い作家が「らい病(ハンセン病)」で亡くなった。かつて我が家にも訪ねてくれた青年だったが、一人で病院で亡くなる孤独な死であった。生前彼が書いた「らい病小説」はいくらかの金になったのだが、その金をらい病であるがゆえに家から追い出した彼の実母に渡していいものかどうか悩むところだ…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・谷澤はかつて私の家を訪ねました。
 登場人物
鎌倉に住む作家。
私の妻。
谷澤 私の知人。若い「らい小説」作家。らい病で入院していた病院で死亡。
谷澤の実母。息子が「らい病」患者であるがゆえに自宅から追い出した。
宮村 谷澤の文学仲間。
倉木 谷澤の文学仲間。
編集者 谷澤の担当編集。
事務員 谷澤が入院する病院の事務員。
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名人 川端康成 新潮社
あらすじ
 康成は鎌倉の文学仲間と熱海で行われた「紅葉祭」に参加し「うろこや旅館」に宿泊したが、その翌日に友人である囲碁の名人・本因坊秀哉名人が同じ旅館で亡くなった。正月に我が家に来た時も彼は体調がよく見えなかった…。

 作品の舞台
 長谷・・・川端康成邸に本因坊秀哉が訪ねました。
 登場人物
川端 康成 長谷に住む小説家。
本因坊秀哉 世田谷に住む康成の友人。囲碁の名人。
里村 秀哉の義弟。囲碁4段。
夫人 秀哉の妻。
高山 樗牛 康成の友人。鎌倉に住む文芸評論家。
坪内 逍遥 康成の友人。鎌倉に住む小説家。
尾崎 紅葉 康成の友人。小説家。
大竹 囲碁7段の棋士。
久田 東京の新聞記者。
松本 東京の新聞記者。
岩田 秀哉を看取った医師。
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川端康成 新潮社
あらすじ
 昭和15年1月17日、熱海で行われた『金色夜叉』の月夜を記念した「紅葉祭」に参加した康成たちは、宿泊した「うろこや旅館」で翌日に友人でもある有名な囲碁の棋士・本因坊秀哉が亡くなったことを知った。康成は秀哉の死を知った時に、過去におこった数々の友人たちの死が頭の中に甦ってきた…。

 作品の舞台
 長谷・・・川端康成邸、里村邸があります。
 登場人物
川端 康成 長谷に住む小説家。
康成の妻。
本因坊秀哉 世田谷に住む康成の友人。囲碁の名人。
秀哉の妻。
里村 長谷に住む秀哉の義弟。囲碁4段。
秀哉の義弟。銀行家。
高山 樗牛 康成の友人。鎌倉に住む文芸評論家。
坪内 逍遥 康成の友人。鎌倉に住む小説家。
尾崎 紅葉 康成の友人。小説家。
市長 熱海市長。
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天授の子 川端康成 新潮社
あらすじ
 広島に来ていた私のもとに1通の電報が届いた。それは私たち夫婦の養女・民子の実母・時子の危篤を知らせるものだった。流産が多かった私の妻・宗子と私のもとに来てくれた民子は占い師から「天授の子」と言われていた…。

 作品の舞台
 北鎌倉・・・宗子は山へ登った時に流産してしまいます。
 登場人物
物語の語り手。
宗子 私の妻。
民子 私の養女。時子の三女。
時子 民子の実母。
夏子 時子の長女。民子の長姉。
波子 夏子の娘。
明子 時子の次女。民子の次姉。
浅見 時子の前夫。大阪・交野に住む私の従兄。
大江 時子の夫。
三木 時子の実兄。三木家の養子。
息子 三木の息子。
従妹 私の亡従妹。嫁ぎ先で死亡。
桑田 私の友人。尾道生まれ。日本ペンクラブ会員。
桑田の妻。東北の豪農の一門の出。
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犬と話して 川端康成 新潮社
あらすじ
 鎌倉では年に一度、おもしろい犬の展覧会を開催する。それは訓練をして行儀の良さを競ったり、体の大きさを競ったりするものではなく、良く尾を振る犬や変わった仕草をする犬たちを集めて、観衆たちの投票で1位を決める大会だ…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・犬の展覧会を行ないます。
 登場人物
女の子 犬(アコ)の飼い主。
アコ 女の子の飼い犬。
おばあさん 乞食のような風貌の観衆の老婆。
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隣人 川端康成 新潮社
あらすじ
 東京に住む村野は鎌倉に残している老父母が淋しがらないように、若い夫婦に母屋を貸し老父母を離れに住まわすことにした。若夫婦もそれを嫌がらずに、時々声をかけてくれているようだった…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・村野の実家があります。
 登場人物
村野 東京に住む会社員。実家は鎌倉。
鎌倉の実家の離れに住む村野の父。
鎌倉の実家の離れに住む村野の母。
吉郎 村野家の母屋を借りる若者。
ゆき子 吉郎の新妻。
仲人 吉郎とゆき子の仲人。村野の友人。
台湾が住むゆき子の父。愛玩品はとんぼ玉。
老父母に慣れているトンビ。
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かささぎ 川端康成 新潮社
あらすじ
 康成の旧友である洋画家の家の庭に「かさざき」と呼ばれる尾の長い鳥が毎年7月にやってくる。私は「かささぎ」とはこんな鳥だろうかと疑問をもつが、友人は「かささぎ」と言い張っている。それについてはどちらでもいいが、毎年決まってその鳥が庭にやってくるほど慣れているのは非常にうらやましいものだ…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・旧友の洋画家の家があります。
 登場人物
川端 康成 物語の語り手。
洋画家 康成の旧友。