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あらすじ
疲れて帰ってきた新橋の会社員・隆志は、普段利用する江ノ電鎌倉駅に0番線ホームがあることに気が付いた。ホームに停まる古びた電車に乗ると、帽子をかぶった外套の男が「海岸通り駅」で下車する光景を目にする。「海岸通り駅」など実在しないことは隆志もわかっている。不思議な体験をした彼は、気になることを調べていくと外套の男がある文豪ではないかと疑い始める…。
第88回オール読物新人賞候補作
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作品の舞台 |
鎌倉駅・・・隆志は江ノ電ホームに0番線があることに気が付きます。
海岸通り駅・・・外套の男が下車します。(「海岸通り駅」は現在の由比ガ浜にあり、昭和19年11月18日に廃止。)
七里ガ浜・・・隆志の家があります。
極楽寺・・・若者とその恋人の家があります。
稲村ガ崎・・・若者とその恋人がよく遊びにいきます。
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登場人物 |
隆志 |
新橋にあるIT企業の元・管理職。現在は出向先で若手指導の身。畑が合わずストレスを抱える。 |
妻 |
隆志の妻。息子の反抗期でストレスを抱える。 |
浩志 |
隆志の長男。高校1年生。学校をサボり気味。 |
後輩 |
隆志の部下。 |
男 |
江ノ電の乗客。帽子をかぶり外套を着る男。「海岸通り駅」で下車。 |
若者 |
江ノ電の乗客。横浜にある商船会社に勤務。戦争中は特務艦「足摺」の二等水兵。極楽寺に住む。 |
恋人 |
若者の恋人。女子高等師範に通うも、戦争中は平塚の落下傘工場に学徒勤務動員。極楽寺に住む。 |
小娘 |
江ノ電の乗客。田舎者の小娘。 |
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あらすじ
鎌倉市内の観光人力車の俥夫・竜崎俊輔は、壽福寺の門前で発作に苦しむ美しい夫人・曽賀蓉子を助けた。そして発作がおさまった蓉子は、そのお礼にと俊輔を自邸に招いた。大きな館に家政婦と二人暮らしをする未亡人の蓉子に俊輔は魅かれていくのだが…。
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作品の舞台 |
壽福寺・・・俊輔と蓉子が出会います。
和賀江島・・・俊輔は人力車に蓉子を乗せて、和賀江島に向かいます。
三ノ鳥居・・・人力車に乗った蓉子は、江波と待ち合わせをします。
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登場人物 |
竜崎 俊輔 |
観光人力車「爽風亭」の俥夫。辻堂生まれ。
城山学院大学史学部卒業。元陸上競技部で箱根駅伝を目指していた。 |
曽賀 蓉子 |
鎌倉の大きな洋館に住む美しい未亡人。東京の女子大卒。元・銀座の雇われママ。 |
夫 |
蓉子の亡夫。横浜にある貿易会社の社長。5年前に死亡。墓は壽福寺にある。 |
由井 |
曽賀邸の住み込みベテラン家政婦。 |
江波 浩二 |
城山学院大学史学部准教授。日本中世史専攻。 |
石野 |
城山学院大学史学部教授。俊輔の師。 |
佐伯 松男 |
「爽風亭」の親方。 |
若者 |
海岸でバーベキューをする若者。マナーが悪い。 |
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竜の棲む岬 稲村ケ崎洞窟の秘密
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森園知生 |
Amazon
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あらすじ
稲村ケ崎でサーフショップを経営する瀬川敏男は27年前、友人をサーフィンの海難事故で失ったが、殺人なのか、拉致なのか、事故死なのかはっきりしないまま現在に至っている。姿を消した友人が帰ってくることを願っていた敏男は、ある密漁事件から27年前の事件関係者が関わっていることを知り、話を聞くことになった…。
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作品の舞台 |
極楽寺・・・悟志の実家があります。
稲村ガ崎・・・波情報屋の事務所、敏男が経営するサーフショップ、洋子が経営するキッチン「岬亭」などがあります。
七里ガ浜・・・絵里は駐車場で悟志の車に乗り換えます。
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登場人物 |
瀬川 敏男 |
稲村ガ崎でサーフショップを経営。45歳。過去はサーフィンの大会で上位に入賞する実力の持ち主。 |
鳴海 陽子 |
敏男の高校時代の友人。45歳。稲村ガ崎商店街でキッチンバー「岬亭」を経営。 |
悟志 |
稲村ガ崎の波情報屋。28歳。敏男をリスペクトしている。 |
雄一 |
悟志の事務所スタッフ。21歳。大学中退後、プロサーファーを目指す。 |
嘉納 吾朗 |
通称「鳶の爺さん」。元・横須賀鎮守府第一特攻隊「伏龍」稲村ガ崎分隊所属・二等飛行兵曹。 |
竜一 |
敏男・陽子の高校時代の友人。27年前に海難事故で失踪。 |
三浦 庄司 |
敏男・陽子の高校時代の友人。45歳。海上保安庁・三等海上保安監。 |
朝倉 絵里 |
タレント。過去に悟志がサーフィンを教えた経験がある。 |
マスター |
稲村ガ崎の焼鳥屋「鳥浜」の店主。サーフィンが好き。 |
谷垣倫太郎 |
横須賀鎮守府第一特攻隊「伏龍」稲村ガ崎分隊所属・大尉。 |
青井 |
横須賀鎮守府第一特攻隊「伏龍」稲村ガ崎分隊所属・少尉。 |
戸塚 |
横須賀鎮守府第一特攻隊「伏龍」稲村ガ崎分隊所属・一等飛行兵曹。 |
山田 |
横須賀鎮守府第一特攻隊「伏龍」稲村ガ崎分隊所属・二等飛行兵曹。 |
赤城 |
予科練の教官。 |
剣崎 |
予科練の練習生。 |
高島 |
少年院の教官。 |
関口 |
プロサーファー。 |
タカシ |
若いサーフショップ店員。 |
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あらすじ
鎌倉市内の発掘現場で旅館の副社長・宮下憲二は大学の恩師・吉田の姿を見かけた。そして二人は小町にあるスナック「段葛」で考古学談義をするが、歴史好きのママが鎌倉時代の話を語り始めた…。
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作品の舞台 |
小町・・・スナック「段葛」があります。
永福寺・・・実朝は寺に咲く梅の花を思い出します。
由比ガ浜・・・実朝は陳和卿と共に大きな船を造ります。
鶴岡八幡宮・・・実朝の右大臣拝賀式の夜、悲劇がおこります。
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登場人物 |
宮下 憲二 |
修善寺にある温泉旅館の副社長。大学では中世考古学を専攻。 |
新田 杏子 |
憲二の大学時代の同じ研究室仲間。鎌倉市教育委員会文化財部の学芸員。 |
吉田 |
中世考古学専攻の大学教授。憲二と杏子の師。あだ名は「サネアツ」。 |
田口 |
吉田が勤める大学の助教授。 |
女将 |
小町通り裏にあるスナック「段葛」のママ。歴史好き。 |
父 |
憲二の父。温泉旅館の社長。 |
兄 |
憲二の亡兄。10歳年上。旅館の社長を継ぐ予定だったが服毒自殺をする。 |
姉 |
憲二の姉。旅館の女将。 |
義兄 |
姉の夫。旅館の経理担当。 |
叔父 |
憲二の母の弟。旅館の専務。 |
長男 |
叔父の長男。旅行会社勤務。 |
源 頼朝 |
鎌倉幕府初代将軍。 |
北条 政子 |
頼朝の母。 |
源 頼家 |
頼朝と政子の長男。鎌倉幕府2代将軍。 |
源 実朝 |
頼朝と政子の次男。鎌倉幕府3代将軍。 |
一幡 |
頼家の長男。 |
公暁 |
頼家の次男。幼名・善哉。 |
北条 時政 |
幕府の有力御家人。鎌倉幕府初代執権。頼朝の腹心。 |
北条 義時 |
幕府の有力御家人。時政の次男。政子の同母弟。鎌倉幕府2代執権。頼朝の腹心。 |
阿波局 |
政子・義時の同母妹。実朝の乳母。 |
坊門 信子 |
実朝の正室。 |
大江 広元 |
幕府の官吏。政所別当。 |
三浦 義村 |
幕府の有力御家人。 |
和田 義盛 |
幕府の有力御家人。侍所別当。 |
和田 義直 |
幕府の御家人。義盛の四男。 |
和田 義重 |
幕府の御家人。義盛の五男。 |
和田 胤長 |
幕府の御家人。義盛の甥。 |
和田 朝盛 |
幕府の御家人。義盛の孫。実朝の和歌仲間。 |
稲毛 重成 |
幕府の御家人。時政の娘婿。 |
八田 知重 |
幕府の御家人。筑後左衛門尉。 |
源 仲章 |
実朝の侍読。 |
比企尼 |
頼朝の乳母。 |
泉 親衡 |
信濃国の住人。 |
後鳥羽院 |
第82代天皇。朝廷の権力者。 |
坊門 信清 |
後鳥羽の近臣。信子の父。 |
藤原 定家 |
公卿。歌人。 |
藤原 清経 |
公卿。 |
栄西 |
臨済宗の開祖。壽福寺を建立。 |
陳和卿 |
宋の工人。 |
次郎丸 |
力士。修善寺で頼家を襲った武士団のひとり。 |
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あらすじ
宮崎出身のプロサーファー・長友智志は稲村ヶ崎で行われるサーフィン大会「INAMURA」に出場するために鎌倉へやってきた。そして稲村ヶ崎の浜辺で波待ちをしていた智志は、地元のサーファー・裕二から戦時中に進駐軍の兵士たちが稲村ヶ崎でサーフィンを楽しんでいる最中、海底から竹槍で突かれたという都市伝説を聞いた…。
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作品の舞台 |
稲村ガ崎・・・智志と裕二は都市伝説の謎を調べるために稲村ヶ崎の洞に入ります。
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登場人物 |
長友 智志 |
宮崎出身のプロサーファー。サーフショップのボードリペア担当。 |
長友吉次郎 |
智志の祖父。戦時中は予科練出身の特攻兵。智志の理解者。 |
父 |
智志の父。地元(宮崎)の信用金庫の融資担当。 |
裕二 |
鎌倉のサーファー。兄が経営するイタリア料理店の下働き。 |
父 |
裕二の父。元・磯料理店経営。 |
兄 |
裕二の兄。父の店を改装してイタリア料理店のオーナーシェフ。 |
大牟田真一 |
智志の中学時代の同級生。地元(宮崎)にある病院の看護師。 |
分隊長 |
土浦予科練時代の吉次郎の上官。 |
先任士官 |
久里浜対潜学校時代の吉次郎の上官。 |
軍医 |
久里浜対潜学校の軍医。 |
指揮官 |
被災地で救助中の自衛官。 |
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あらすじ
近未来のある日、日本は小笠原沖に大彗星が飛来した影響で列島全体が水没し、国民は他の諸国に避難していた。そして数年後、避難先のブラジルから鎌倉へ戻ってきた男は、サーフィンをするため稲村ヶ崎の浜辺へ行くと、ひとりの少女と出会った…。
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作品の舞台 |
稲村ガ崎・・・男は浜辺でひとりの少女と出会います。
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登場人物 |
男 |
サーフィン好きの男。大津波による避難先はブラジル。 |
少女 |
浜辺で座っていた少女。大津波による避難先はアフリカ。 |
女 |
男の恋人。看護師。大津波による避難先はアフリカ。 |
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あらすじ
会社員の三浦祐輔は大学時代のサークル仲間・石井のり子と再会し、鎌倉市内の歴史深い怪奇スポットをまわることになった。しかしこれは鎌倉時代や戦時中に出会いと別れが繰り返されたことによる奇跡の再会だった…。
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作品の舞台 |
江ノ電鎌倉駅・・・通勤途中にのり子と祐輔がよく出会います。
和田塚・・・電車内でのり子と祐輔がオカルト話で盛り上がります。
妙本寺・・・歴史好きなのり子が祐輔と散策します。
東勝寺・・・のり子が祐輔と散策します。
材木座海岸・・・のり子が祐輔と散策します。
七里ガ浜・・・三浦祐輔宅があります。
極楽寺・・・石井のり子宅があります。
北鎌倉・・・三浦与平邸があります。
和賀江島・・・のり子は祐輔に、紀子は誠二に、和賀江島に行きたいと言われます。
腰越・・池田の実家があります。
雪ノ下・・・八幡宮の脇に和田義盛邸があります。
長谷寺・・・源太が書いた徳子宛の文を僧が預かります。
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登場人物 |
三浦 祐輔 |
七里ガ浜に住む不動産会社の営業部員。29歳。大学時代、歴史サークル「古都散策会」のメンバー。 |
石井のり子 |
祐輔の大学時代のサークル仲間。29歳。鎌倉市郷土史編纂室の職員。 |
三浦 与平 |
横須賀海軍工廠の造船技師。祐輔の亡曽祖父。 |
三浦 創一 |
与平の長男。祐輔の祖父。「九菱重工」造船技師。戦時中は横須賀海軍工廠の技師。 |
三浦 誠二 |
与平の次男。海軍中尉。湘南中学卒。人間魚雷・回天の搭乗員。 |
石井 紀子 |
誠二の恋人。北鎌倉女学院卒。青磁が好き。 |
K |
海軍大尉。回天の発案者。誠二の3期上。 |
磯崎 |
海軍少尉。 |
稲本 |
海軍少尉。 |
迫田 |
海軍の二飛曹。 |
池田 |
海軍の整備兵。戦後は外国航路の船員。 |
和田 義盛 |
鎌倉幕府の御家人。侍所別当。 |
和田 常盛 |
義盛の嫡男。 |
和田 義氏 |
義盛の次男。 |
朝夷奈三朗義秀 |
義盛の三男。 |
和田 義直 |
義盛の四男。 |
和田 義重 |
義盛の五男。 |
和田 胤長 |
義盛の甥。 |
和田 徳子 |
義氏の娘。義秀が好き。 |
浜菊 |
徳子のしつけ役。 |
源太 |
三浦方の船乗り長の息子。15歳。 |
巴御前 |
義盛の側室。 |
三浦 義澄 |
鎌倉幕府の御家人。 |
三浦 義村 |
義澄の嫡男。 |
矢部の姫 |
義村の娘。 |
泉 親衡 |
信濃国の武将。北条氏に反旗を翻す。 |
政宗 |
鎌倉の刀工。 |
僧 |
長谷寺の僧。 |
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あらすじ
東日本大震災の原子力発電所燃料漏れが問題になって以来、エネルギー政策に対する国の方針は真っ二つに割れ、政府は原発賛成・反対を主流とした道州制を導入した。自然エネルギー推進「中部州」の鎌倉市に住む若松颯太は、州議だった祖父の意思を受け継ぎ地熱発電開発の研究員として働いている。しかし彼の幼なじみたちは仲は良いものの、その職業や立場の関係で原子力エネルギー推進の「関越州」に移るものもいるのだった…。
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作品の舞台 |
円覚寺・・・高杉と明日香は颯太の人力車で取材に行きます。
建長寺・・・高杉と明日香は颯太の人力車で取材に行きます。
鶴岡八幡宮・・・高杉と明日香は颯太の人力車で取材に行きます。
妙本寺・・・高杉と明日香は颯太の人力車で取材に行きます。
七里ガ浜・・・高杉の車が停まる駐車場があります。
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登場人物 |
若松 颯太 |
中部州立エネルギー研究所地熱発電開発部職員。26歳。土日はアルバイト人力車夫。 |
若松源太郎 |
颯太の亡祖父。福島に住んでいたが東日本大震災で被災、鎌倉に転居する。
自然エネルギー推進の中部州議会議員となるが肺癌で死亡。 |
若松 駿一 |
颯太の亡父。甲状腺癌で死亡。 |
若松佐知子 |
颯太の母。 |
真藤明日香 |
颯太の幼なじみ。関越テレビアシスタントディレクター。26歳。 |
高杉 |
明日香の上司。関越テレビディレクター。40歳。 |
長沼 仁司 |
颯太・明日香の同級生。原発の廃炉管理の仕事に就く。土日はアルバイト人力車夫。 |
直美 |
颯太・明日香の3つ年下の後輩。ウインドサーフィンのインストラクター。 |
坂井 |
中部州立エネルギー研究所地熱発電開発部長。颯太の上司。 |
真山 |
中部州立大学工学部教授。地熱エネルギー工学専攻。 |
押本隆太郎 |
中部州立大学工学部教授。原子力工学専攻。 |
北条孝太郎 |
関越州議会議員。原子力エネルギー推進派。 |
江間 真一 |
湯河原町議会議員。原子力エネルギー推進派。温泉旅館「相模屋」主人。 |
松本 |
湯河原町温泉観光組合理事長。温泉旅館「松本旅館」主人。 |
上田 |
湯河原町温泉観光組合副理事長。温泉旅館「上田屋旅館」主人。 |
若旦那 |
湯河原町温泉観光組合会員。温泉旅館「清風楼」若主人。 |
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あらすじ
私が31歳の時に胃潰瘍で海沿いに建つ恵風園病院に入院していた。恵風園病院は昔、結核の療養所・サナトリウムとして有名な病院だった。私は希望して近くの開業医に入院の紹介状を書いてもらい、早速海が見える病室で点滴治療を受けることになったのだが…。
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作品の舞台 |
七里ガ浜・・・海沿いの恵風園病院に入院します。
小動岬・・・太宰はあつみと心中事件をおこし、恵風園病院に搬送されます。
腰越・・・Aが営む魚屋があります。 |
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登場人物 |
私 |
コンピューターメーカーの社員。31歳。胃潰瘍にかかり入院する。 |
A |
私と同室の入院患者。腰越の魚屋の主人。白髪頭で角刈りの年配男性。 |
看護婦 |
恵風園病院の看護婦。 |
医者 |
私の近所にある開業医。 |
太宰 治 |
作家。入院当時は東京帝国大学の学生。心中事件をおこし恵風園病院に搬送される。 |
田部あつみ |
銀座のカフェの女給。治と心中する。 |
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