はなの味ごよみ 高田在子 角川e文庫
あらすじ
 鎌倉・山ノ内村で暮らすはなは両親を亡くした後、他家へ嫁ぐことなく独り身のまま畑で大根を育てていた。親代わりで隣家に住む亀吉一家からは縁談も持ち込まれるのだが、もって生まれた「大食い」が災いしてか彼女もそれを拒んでいた。ある日、はなが畑仕事を終え家に戻ると、見知らぬ男がけんちん汁を作り座敷でくつろいでいた。男は抜け参りで伊勢へ行った帰りに追剥ぎに遭い、逃げてこの村へやってきたというのだ。はなは仕方なく一晩泊めることにしたが、度重なる縁談を断るために偽の夫として数日間家にいてもらうことを画策する。


 作品の舞台
 山ノ内・・・はなや亀吉一家が暮らしています。
 由比ガ浜・・・ふくが嫁いだ漁師の家があります。
 登場人物
はな 鎌倉山ノ内村の農家の娘。28歳。3年前に両親を流行り病で亡くし、独り身のまま畑を守っている。食べることが好きで食べ方がきれい。
亀吉 はなの隣家に住む農夫。夫婦そろって独り身のはなを心配している。
とめ 亀吉の女房。45歳。はなに度々縁談を持ってくる。
長女 とめの長女。他家へ嫁いでいる。作品中に名前は出てこない。
ふく とめの次女。由比ガ浜の漁師のもとに嫁いでいる。3人の子持ち。
栄吉 とめの長男。17歳。亀吉のあとを継ぐため、実家で畑仕事をしている。
良太 抜け参りで伊勢へ行った帰りに追剥ぎに遭い、はなの家に押しかける江戸暮らしの男。料理や食材、薬草に知識を持つ。
かね はなの家の近所に住む婆さん。
権平 かねの息子。由比ガ浜の漁師。
つる 権平の女房。3人の子持ち。
三平 権平の末っ子。6歳。
岡田利左衛門 小石川薬草園奉行。
岡田弥一郎 小石川薬草園同心。
本道の医師 小石川養生所の医師。
彦之助 小石川養生所の賄中間。
せい 神田須田町の一膳めし屋「めし喜楽屋」の女将。
銀次 元「めし喜楽屋」の主人。せいの亡夫。
八兵衛 神田多町の八百屋。「めし喜楽屋」に食材を持ち込む。
政五郎 魚屋。「めし喜楽屋」に食材を持ち込む。
権蔵 「めし喜楽屋」の常連客。神田竪大工町の長屋に住む大工。
鳩次郎 「めし喜楽屋」の常連客。神田金沢町の長屋に住む絵師。雅号は「孔雀堂」。
金太 「めし喜楽屋」の常連客。柳橋の船宿の船頭。
佐助 神田竪大工町の長屋に住む若い大工。
ちよ さすけの女房。
りつ 浅草の歳の市で迷子になった娘。
六左衛門 りつの父。漁師。
まつ りつの母。