文学の大家の作品(その6)
文学の大家とよばれる作家の作品集です。各作家のプロフィールは下記のとおり。

寒川鼠骨(さむかわ・そこつ)
  正岡子規門下の俳人。子規の遺族を見守り、遺稿・遺墨の保存に尽力。


作品名 発行年
鎌倉の下女 1927
鎌倉の人 1928
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鎌倉の下女 寒川鼠骨 改造社
あらすじ
 私が逗留する宿に二人の下女がいた。ひとりは店先の商いを担当するニコニコ顔で美人のお高、もうひとりは宿の台所を担当する憂いのある顔立ちのお岸。ある日そのお高が代理人の婆さんに借金の方として渡していたカナリヤを置いて、男と共に駆け落ちしてしまった。そこで宿の女将は後任の下女・お鶴を見つけてきたのだが、すると今度はお岸が仕事に嫌気がさして実家へ帰りたいと言い出したのだ…。


 作品の舞台
 稲村ガ崎・・・私が逗留する宿があります。
 登場人物
物語の語り手。宿に逗留している。
女将 宿の女将。
お高 宿の下女。笑顔がかわいい美人。店先の担当。
お岸 宿の下女。憂いのある顔立ち。台所の担当。
お鶴 お高の後任の下女。
お花 お岸の後任の下女。お鶴の妹。働き者。
お蔦 新入りの下女。
宿の主人の妾。
婆さん お高の代理人。
情夫 お高の情夫。鳶職の若者。
次兄 お岸の次兄。横浜の商館で働く。
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鎌倉の人 寒川鼠骨 改造社
あらすじ
 私が逗留する宿の向かいに和建築の二階家があるのだが、いつもそこからピアノの音が聞こえてくる。どうやらそれはその家で暮らす西洋人の女性が弾いているようだが、その庭で遊ぶ子供の母ではないというのだ…。


 作品の舞台
 稲村ガ崎・・・私が逗留する宿があります。
 稲瀬川・・・異国人の子どもが小舟を作って流して遊びます。
 海濱院・・・散歩中の私が女とすれ違うのは海濱院の前あたりです。
 登場人物
物語の語り手。宿に逗留している。
女中 宿の女中。情報通。
宿の向かいに家を持つアメリカ人。現在ロシアに単身赴任中。
父の亡妻。
子ども 父の子ども。
叔母 父方の叔母。子どもの母代わり。アメリカ人。丸顔。ピアノが趣味。
叔父 叔母の夫。アメリカ人。
コック アメリカ人の家のコック。
女中 アメリカ人の家の女中。
浜へ行く途中にある家に住む女。元・琴の師匠。現在は西洋人の妾。
コック 女の家のコック。
浜辺を散歩する女。25~6歳。
老人 女と一緒に散歩する老人。
主人 風呂屋の主人。