文学の大家の作品(その2)
文学の大家とよばれる作家の作品集です。各作家のプロフィールは下記のとおり。

室生犀星
  石川県生まれの詩人。「ふるさとは遠きにありて 思ふもの…」の詩が有名。
梶山季之
  経済小説やスパイ小説、推理小説、風俗小説と幅広いジャンルで作品を描く。
  45才の若さで死亡。
川上宗薫
  高校教師をしながら大衆文学作品を書き続け、後に官能小説に進出。
  その作風から「失神派」と呼ばれる。
赤川次郎
  「三姉妹探偵団」「三毛猫ホームズ」など人気シリーズを書き続け、
  著作発行部数はナンバーワン。
谷崎潤一郎
  近代日本文学を代表する小説家。純文学作品に秀作がたくさんある。
高見 順
  日本の小説家・詩人。代表作に『如何なる星の下に』『いやな感じ』など。
吉野秀雄
  日本の歌人・書家。良観研究の第一人者。
黒川 創
  「かもめの日」で読売文学賞受賞。従兄弟に秦建日子がいる。
嶽本野ばら
  ロリータ趣味や少女趣味の作風で知られる。代表作に「下妻物語」。
景山民夫
  放送作家を経て小説家に転身。晩年は宗教法人「幸福の科学」に入信。
田山花袋
  群馬県館林市出身。自然主義文学の大家。

作品名 発行年
武蔵野 1887
童子 1922
日本に於けるクリップン事件 1927
黒白 1929
胸より胸に 1951
三面鏡 1959
お茶好き小話 1969
女の警察 1981
初心 1983
虹のカマクーラ 1984
やさしい季節 1993
ティンカーベル・メモリー 1994
素人仕事の贅沢 ミルクホール 2003
2012
ある日
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武蔵野 山田美妙 青空文庫
あらすじ
 鎌倉へ向かう途中だった新田方の武士・秩父民部と娘婿の世良田三郎は、武蔵野に差し掛かった頃に足利方の騎馬武者に見つかってしまい、あえなく命を落としてしまった…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・秩父民部と世良田三郎は、鎌倉へ向かいます。
 登場人物
秩父 民部 髭をたくわえた新田方の荒武者。50歳。
老女 民部の妻。肥えた体格。40歳前後。
忍藻 民部の娘。17歳。肥えた体格。
世良田三郎 忍藻の夫。新田方の若武者。19歳。
新田 義貞 新田軍の大将。
新田 義興 新田軍の武将。義貞の次男。
新田 義宗 新田軍の武将。義貞の三男。
足利 高氏 足利軍の大将。
騎馬武者 足利軍の騎馬武者。
大内 平太 元・北畠軍の武者。
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童子 室生犀星 ちくま文庫
あらすじ
 体の弱い子を持つ私は、脚気症の母乳は子供の脳に悪い影響を及ぼすと聞いて妻以外の母乳を自分の子供に与えようとしていた。そのため他の女性の母乳を分けてもらいに行くか、乳母を雇うかということになったのだが…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・近所の住民たちは、子どもの体質改善のために鎌倉へ転地します。
 登場人物
田端に住む詩人。体の弱い子供を持つ若い夫。
さと 私の妻。脚気症。
私の家の女中。
平林 私の家で世話になる書生?
樋口 近所の医者。
恩樹 私の友人。3歳の娘を持つ。
私の家の向かいに住む画家。
早瀬 私の家の隣に住む3人の子持ち。
杉原 私の故郷に住む詩人。
根岸のおばさん 私の親戚。
私の母。
口入れ屋 乳母を世話する千葉の口入れ屋。
乳母として連れてこられた娘。21~2歳。
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日本に於けるクリップン事件 谷崎潤一郎 新潮文庫
あらすじ
 マゾヒストの夫が異性に虐待されることで快楽を求め殺されることを望もうとするが、逆に異性を殺す実例も無くはない。1910年、イギリスでクリップン夫妻の殺人事件がそれなのだが、日本でもそのような事件が起こっている。大正13年3月のこと、兵庫県の芦屋川停車場にほど近い丘の上にある一軒の家から、飼い犬の唸り声と人の叫び声が聞こえたとして、近所の住人や近くで働く馬方が駆けつけたところ、裸で縛られた全裸の男と、支那服を着て鞭を持った女の死体が発見された…。


 作品の舞台
 扇ヶ谷・・・某氏の所有地の雑草の中に、被害者に似た等身大の人形が入った行李が捨てられていました。
 登場人物
小栗由次郎 兵庫県武庫郡に住む会社員。35~6歳。
尾形巴里子 小栗の内縁の妻。歌劇女優。
エス 小栗の飼い犬。
小栗家の隣人。農家。
小栗家に近い石切場から石を運ぶ馬方。
某氏 扇ヶ谷に住む住人。
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黒白 谷崎潤一郎 新潮文庫
あらすじ
 貧乏作家の水野の創作小説の作風は悪魔主義的なものが多く、今回も自らと同じ経歴を持つ作家の児島をモデルとした人物を殺す作品を描き上げた。しかし彼の妄想はさらに膨らみ、なんと本当に児島を殺す計画をたてようとしていた…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・水野と女は鎌倉までドライブをします。
 登場人物
水野 悪魔主義的な作品を描く貧乏作家。
児島仲次郎 水野の知人。作家。編纂者。元婦人雑誌「ユモレスク」の記者。35歳。
原田 雑誌「民衆」の編集主任。
中沢 「民衆」の編集者。原田の部下。
渡辺 次郎 「民衆」の編集者。原田の部下。
児島 輝雄 仲次郎の息子。
ドイツ語が堪能なタイピスト。酒が好き。
小金 築地の芸者。
鈴木 水野の友人。
亭主 水野の下宿先の亭主。
下女 水野の下宿先の下女。
文士。
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胸より胸に 高見 順 角川文庫
あらすじ
 学生時代むのボート部の懇親会へ出席した日下重吉は、友人の狭間や後輩の波多野とともに浅草レビューを見に行くことになったが、そこで出会ったのは、踊り子の宮島志津子だった…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・日下重吉宅があります。
 円覚寺・・・志津子を鎌倉に招いた日下と波多野は、円覚寺を案内します。
 由比ガ浜・・・志津子は海が見たかったので、三人で海岸へ行きます。
 登場人物
日下 重吉 商事会社の嘱託。学生時代はボート部に所属。鎌倉に住む。
波多野俊彦 日下の後輩。元・ボート部。大学の助教授。逗子に住む。
狭間 日下の同級生。元・ボート部。私立病院の内科部長。
宮島志津子 浅草レビューの踊り子。20歳。
吉植 松雄 浅草レビュー文芸部の作家。通称「吉松っちゃん」。
宇佐美 浅草レビュー文芸部の作家。
上村 優子 お好み焼き屋「はの字」の女将。元・浅草レビューの踊り子。元・日下の愛人。
西原瑠璃子 浅草レビューの踊り子。吉植の愛人。
俊彦の母。
俊彦の兄。日下の知人。
義姉 俊彦の義姉。兄の妻。
波多野美保子 俊彦の妹。17歳。
日下 妙子 日下の妻。銀座の喫茶店「ゾンネ」を経営。
妙子の父。資産家。
女給仕 「ゾンネ」の給仕。女子学習院出の元陸軍中将令嬢。
H夫人 「ゾンネ」の客。
K大将 波多野の母の遠縁。
K大将の娘。アーニー・パイルの踊り子。
狭間の知人。作家。
看護婦 狭間の病院の看護婦。
資産家。
小女 「はの字」の下働きの娘。
女中 合羽橋通りのどじょう屋の女中。
友人 日下の友人。新聞社勤務。
友人 日下の友人。通信社勤務。
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三面鏡 高見 順 中央公論社
あらすじ
 英文書籍の編集者・末松眞佐子の父の友人・椎野謙治は、西銀座の裏通りにいる大道易者の姿を見て非常に驚いた。それは元・陸軍少将でパリ大使館付き武官だった川尻泰輔の姿だったからだ。彼は戦犯として収監後、同僚に罪をなすりつけられ、現在では世間から隠れ住むような生活をしているのだ…。


 作品の舞台
 北鎌倉・・・泰輔の亡妻のお墓があります。
 登場人物
末松眞佐子 英文書の編集部に働くOL。
末松 眞佐子の父。
末松の亡妻。眞佐子の亡母。
末松 莭子 父の後妻。眞佐子の継母。淳二の実母。
末松 淳二 父の長男。眞佐子の異母弟。
鈴子 末松家の女中。
小西 卓也 劇作家。シナリオライター。末松・椎野とは高校の同級。
椎野 謙治 パリ大使館の外交官。。末松・小西とは高校の同級。
矢島 敏男 眞佐子の恋人。大学英文科の助教授。英文学翻訳家。
川尻 泰輔 西銀座の大道易者。元・陸軍少将。元・パリ大使館付き武官。戦犯となり隠遁生活をする。
遊天寺三郎 三光商事㈱専務。元・陸軍参謀。泰輔に戦犯の罪をなすりつけ、現在はキャバレーを経営。
名倉 三郎が経営するキャバレーの支配人。元・川尻兵団の将校。
鹿内 会社員。元・川尻兵団の将校。
重森 川尻の知人。商事会社社長。
佐伯 慶子 重森の亡姉。椎野の元愛人。
慶子の亡夫。
長男 慶子の長男。
佐伯 英助 慶子の次男。画家。
駒井 眞佐子の上司。女性編集部長。
志貴つや子 泰輔の娘。逗子に住む。旧姓・川尻。
志貴 正彦 つや子の息子。泰輔の孫。
花輪  進 川尻家の近所に住む少年。正彦と同年代。
花輪 瀧子 進の母。広島市育ち。
野口 邦枝 西銀座のスタンドバー「アポロ」のホステス。通称「ノンちゃん」。
かをる 「アポロ」のベテランホステス。
武智 かをるの恋人。
進藤 社団法人の理事長。西洋美術史の大家。
進藤夫人 進藤の妻。
進藤 秀治 進藤の息子。
宇津木幹夫 進藤の甥。会社員。
亮子 眞佐子の学生時代の友人。
留さん 川尻の知人。バタ屋。
源さん 川尻の知人。バタ屋。
今泉 作家。小西の友人。
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お茶好き小話 吉野秀雄 青空文庫
あらすじ
 秀雄が8歳の頃、両親のもとを離れて祖母の家で暮らしていたことがある。祖母は毎日囲炉裏の前に座っては鉄瓶で沸かしたお湯でお茶をいれてくれた。そのおかげか今現在でも秀雄はお茶が大好きになってしまった…。


 作品の舞台
 瑞泉寺・・・友人の大下豊道氏が住職をしています。
 登場人物
吉野 秀雄 物語の語り手。歌人。お茶が好き。
家内 秀雄の妻。
祖母 秀雄の祖母。お茶が好き。
大下 豊道 鎌倉にある「瑞泉寺」の住職。秀雄の友人。
夫人 豊道の妻。静岡県榛原郡川根本町千頭の生まれ。
鈴木 雹吉 静岡市用宗(現・静岡市駿河区用宗)に住む俳人。
矢部 聞声 島田市家山にある「三光寺」の住職。
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女の警察 梶山季之 新潮文庫
あらすじ
 借金を踏み倒して逃げるホステスを探し出す仕事がら、「女の警察」とあだ名される篝正秋は、キャバレー経営会社「暁興業」の保安部長を務めている。そんな彼が大学時代の友人・玖島の納骨式に出席するために鎌倉を訪れた。すると未亡人となった玖島の妻から彼は「玖島は殺された」と告白された。どうやら玖島は危険な取材を続けていたため、その相手から脅迫電話を受けていた様子だったというのだが…。


 作品の舞台
 瑞泉寺・・・正秋の友人・玖島太郎の納骨式が行われます。
 登場人物
篝  正秋 銀座のキャバレー管理会社「暁興業」の保安部長。32歳。
玖島 太郎 正秋の大学時代の友人。雑誌「日本春秋」の記者。故人。
玖島千代子 太郎の妻。
玖島 雪夫 太郎と千代子の子。4歳。
玖島五郎作 太郎の父。タクシー会社社長。
田村 錬次 雑誌「日本春秋」編集長。
小平 賢治 「暁興業」社長。
神崎正之輔 「暁興業」専務。
神崎 道子 正之輔の妻。賢治の妻。会員制クラブ「コンテッサ・クラブ」の経営者。
檜垣 銀座の高級サロン「コスモス」の支配人。
小金井蓉子 「コスモス」のホステス。
長谷川雪絵 「コスモス」のホステス。
ミドリ 「コスモス」のホステス。
衿子 「コスモス」のホステス。
朱美 「コスモス」のホステス。
茂子 「コスモス」のホステス。
福江美智子 「コスモス」の元ホステス。本名「赤松辰子」。
佐本  覚 「コスモス」の常連客。鉄鋼業界新聞社「スチール通信社」社長。
藤代 六郎 「コスモス」の常連客。商社「三星物産」の鉄鋼部厚板係長。
尾形 俊二 「コスモス」の常連客。不動産会社の重役。
佐々木 「スチール通信社」主任。
宝部 三吉 名古屋のキャバレー管理会社「中京観光」社長。
猪口 貞也 三吉の義弟。
蒋  宗元 福岡のキャバレーチェーン経営者。台湾人。
大川作之助 悪名高い金融業者。
戸川 隆子 作之助の秘書。
大館 昌子 作之助の秘書。
大川久美子 作之助の姪。
丹羽 昌子 作之助の愛人。鹿児島出身。
哲子 新宿2丁目のトルコ「煩悩」のトルコ嬢。別名「シゴキの哲子」。
詫摩 周六 業界団体「鉄鋼統制会」の専務理事。元・運輸官僚。
詫摩 ヤス 周六の妻。
佐本百合子 周六の末娘。覚の妻。
工藤 陸郎 大物政治家。「憲民党」幹事長。
柴崎金之助 工藤の義兄。大阪の不動産会社「柴金商事」の社長。
加藤 汀三 「平和経済興信所」の探偵。
河合 東銀座の「河合法律事務所」の弁護士。京大卒。
花村 丸の内の「花村法律事務所」の弁護士。東大卒。
毛馬内 丸の内の「花村法律事務所」の弁護士。東大卒。
城戸崎侍良 製薬会社の社員。
四賀辰之助 城戸崎家の正面に住む住人。
赤松 ヤス 城戸崎家の住み込み家政婦。美智子の母。
穂積 圭子 東銀座のバー「ピカデリー」のマダム。
ヒロ子 東銀座のバー「ピカデリー」のゲイボーイ。
金城久美子 「東亜航空」のキャビンアテンダント。
餅原 次郎 「帝国コンクリート」のミキサー車運転手。
光村 昇平 「帝国コンクリート」のミキサー車運転手。
団井 一幸 日刊紙経済部の記者。
マスミ 新橋のキャバレーの年増ホステス。
俣野 新宿のヤクザ。
お絹 十二社の待合の仲居。
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初心 川上宗薫 近代文芸社
あらすじ
 2度目の大学受験も失敗した宏は、心の傷を癒すという名目で鎌倉にある叔母の家に遊びに来ていたが、母からの便りに導かれ実家に戻ることになった。すると彼は、新しく雇われた小麦色の顔をした純朴な新しい女中・都留の姿を一目見て心奪われてしまった…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・宏は鎌倉にある叔母の家に遊びに来ていました。
 登場人物
沢田  宏 浪人生。
沢田 宏の父。実業家。
沢田加代子 宏の母。
三千代 沢田家のベテラン女中。30代。
都留 沢田家の新しい女中。加代子が通うカトリック教会で知り合う。
叔母 鎌倉に住む宏の叔母。ファッション・ショーが好き。
山口 沢田の部下。専務。
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虹のカマクーラ 平石貴樹 集英社
あらすじ
 東京駅地下のハンバーガーショップで出会った髪の長い痩せたタイ人少女・ソムシーと、原発作業員をしていたシカゴ出身の黒人青年・ボブ。二人とも東京に居られる最後の一日なのだ。そしてソムシーの提案で二人は鎌倉の大仏を見に行くことになった…。


 作品の舞台
 高徳院・・・ソムシーとボブは鎌倉の大仏を見に行きます。
 登場人物
ソムシー 髪が長く痩せたタイ人の少女。16歳。サィアミーズ出身。
ボブ 原発の作業員をしていた黒人の青年。21歳。シカゴ出身。
ソムシーの姉。2年前に来日。現在はタイ在住。
横須賀線車内にいたイヴサンローランのバッグを持った女性の乗客。
高徳院に来た観光客。
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やさしい季節 赤川次郎 角川文庫
あらすじ
 同じ高校の同級生でありライバル関係にあった安土ゆかりと原口邦子。そしてゆかりはアイドルタレントへ、邦子は地道に女優への道を進んでいる。そんな彼女たちの先輩にあたる石巻浩志は、二人の愚痴の聞き役でもあり、何かと手助けををする「お守り役」でもあった。不思議な三角関係でつながる中、ゆかりはあるパーティーに浩志を恋人役として連れていったことから、暴力団がらみのトラブルに巻き込まれてしまう…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・ゆかりがグラビア撮影に行きます。
 登場人物
安土ゆかり 売り出し中のアイドルタレント。23歳。
原口 邦子 まだ売れていない若手女優。23歳。
石巻 浩志 某企業の総務部に勤務するサラリーマン。25歳。ゆかり・邦子のお守役。
石巻 克子 浩志の妹。OL。21歳。
森山こずえ 浩志の同僚。総務部勤務。24歳。浩志に気がある。
西脇 ゆかりが所属する芸能プロの社長。
大宮 ゆかりのマネージャー。
三神 憲二 売れっ子の映画監督。
神崎弥江子 ベテラン女優。女優歴15年。
沢田 慎吾 30代の二枚目俳優。
黒木 竜弘 ホテルNの社長。
黒木  翔 竜弘の息子。K大学3年生。21歳。スキー同好会のメンバー。
久保有里子 竜弘の妹。
久保  泉 有里子の娘。大学1年生。19歳。
長峰隆三郎 翔の母方の祖父。
石巻 将司 浩志・克子の父。親子関係がうまくいっていない。
石巻 法子 将司の後妻。浩志・克子の継母。
斉木 商事会社社員。克子と不倫関係。
斉木 南子 斉木の妻。
国枝 定治 渋谷のヤクザの組長。
国枝 貞夫 定治の息子。
大場 国枝の子分。
武井 恵子 克子の同僚。
長谷川伸子 克子の同僚。
尾上 「K物産」社長。
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ティンカーベル・メモリー 景山民夫 角川書店
あらすじ
 23歳のインテリア・コーディネーターの大久保ひかるは、先日鎌倉のアンティークショップに寄った際にボーっとして記憶がなくなってしまった。しかし購入したバトラーズテーブルも家に配送されているし、精算もクレジットカードで済んでいるのだ。そこでひかるはカメラマンの横森と共に再び鎌倉へ向かうが、彼女は何故か前のテーブルの持ち主に会いたいという感情が湧き出してきた…。


 作品の舞台
 由比ガ浜・・・ひかるが立ち寄ったアンティークショップがあります。
 登場人物
大久保ひかる インテリア・コーディネーター。23歳。世田谷区成城に住む。宮崎生まれ。
笠井 貴子 ひかるの編集担当。東銀座にある「光源社」の女性雑誌のベテラン編集者。
南條 晶子 ひかるのスタイリスト。21歳。
横森 ベテランカメラマン。ひかるの友人。
渡井 カメラマン助手。
須賀 横森の友人。鵠沼に住む建築家。
須賀 温子 須賀の妻。
永沢 由比ガ浜にあるアンティークショップの店長。
芳岡 アンティークショップの男性店員。
堀田 アンティークショップの女性店員。
尼寺 領介 科学ライター。理学博士。逆行催眠に詳しい。40歳代半ばの独身男性。
秋葉 ワイン協会理事。横浜にあるホテルの顧問。昨年の暮れに死亡。
秋葉 秀文 秋葉の息子。東京にある私大文学部の研究助手。
岸村昭三郎 青山の心療内科医。
小松崎 「大善出版」の編集者。
大場由紀子 「桐生デザイン事務所」のデスク担当。
大垣 運搬スタッフ。
ダニエル・マクダネル スコットランドのフォート・ウイリアムズに住む農家。
モリー・マクダネル ダニエルの妻。
ジェニファー・マクダネル ダニエルの長女。
スー・マクダネル ダニエルの次女。
アンドリュー・マクダネル ダニエルの長男。
マーガレット・スチュワート ダニエル家の近所の夫人。気取り屋。
ドゥーリトル 医師。
ネリー・ウィロウ 助産婦。
クリュティエ ジェニファーに憑くギリシャ人の守護天使。
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素人仕事の贅沢 ミルクホール 嶽本野ばら 小学館文庫
あらすじ
 好きな人ができても僕は憶病になって恋に不器用なまま時間を過ごしてしまう。そんな自分のダメさ加減に愛想をつかしてしまった時、僕は鎌倉にある喫茶ミルクホールを訪ねます…。


 作品の舞台
 ミルクホール・・・恋に疲れた僕が訪ねます。
 登場人物
物語の語り手。恋に不器用。
磯見  藩 喫茶「ミルクホール」店主。
紳士 地方からアンティークを購入しに来た初老の紳士。
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黒川 創 新潮社
あらすじ
 出版社の出版部長を務める木村圭子は一昨年夫を亡くし、定年まであと2年だが会社を辞めようと思っていた。そして長年担当を続けていた初老の作家・榎本敦の次の作品の出版を最後の仕事にしようとしていた。そんな榎本は自らが住む鎌倉を終生の地とした大正時代の英文学者・厨川白村を作品の題材にと考えていた…。


 作品の舞台
 材木座・・・白村の別荘「白日村舎」があります。
 鎌倉駅・・・駅東口で圭子と榎本はおちあいます。
 一ノ鳥居・・・圭子と榎本は鳥居近くの古民家イタリア料理店で昼食をとります。
 海岸橋・・・大震災で津波がおこり、逃げる白村と蝶子が渡る橋が流されます。
 登場人物
榎本  敦 60歳を過ぎたベテラン作家。
木村 圭子 長年榎本を担当していた編集者。出版部長。
木村 圭子の亡夫。一昨年すい臓ガンで死亡。
榎本留美子 敦の亡妻。圭子と同じ年齢。2年前に敦と離婚。
厨川 白村 大正時代の英文学者。京都帝国大学文科の教授。
厨川 蝶子 白村の7つ年下の妻。旧姓・福地。
厨川 磊三 白村の父。津山藩士。蘭学者。
福地源一郎 劇作家・政治家。旧幕臣。磊三と縁戚関係。
福地 信世 源一郎の長男。地質学者。
福地 蔦子 信世の妻。蝶子の姉。
老女 別荘の老女中。白村の遠縁。
植木屋 植木屋の若い職人。
艇長 水雷艇の艇長。植木屋の近所に住む。
艦長 巡洋艦「利根」の艦長。
巡査 若い巡査。
サラ・ベルナール フランスの女優。右足切断の手術をする。
モーリス・ベルナール サラの一人息子。
河上  肇 大正時代の経済学者。京都帝国大学法科の教授。白村の一つ年上。
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ある日 田山録弥(田山花袋) 未刊行
あらすじ
 ある日、我が家に姪の時がやってきた。若かった時の彼女は輝くほど美しかったのだが、現在は苦労を重ねたような表情をしている。そんな彼女と私は横須賀の海に二人で船に乗っ思い出話を始めた…。


 作品の舞台
 大船・・・録弥が乗った汽車が事故で一時間ほど停車します。
 登場人物
田山 録弥 作品の主人公。代々木に住む。「田山録弥」は田山花袋の本名。
録弥の妻。
録弥の姪。東大久保に住む。
時の夫。海軍省に勤務。
時の娘。9歳。
伯父 録弥の伯父。84歳。
伯母 伯父の亡妻。13年前に死亡。
岡田 録弥の親類。