立原正秋の作品(その3)
立原正秋の作品です。
作品名 発行年
「接吻」と五つの短篇 1960
銀婚式 1965
死の季節 1966
最後の仕舞 1966
春の病葉(わくらば) 1966
1966
相聞歌 1966
暗い春 1967
荻野村にて 1971
冬の旅 1973
ちぎれ雲 不明
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「接吻」と五つの短篇 立原正秋 角川書店
あらすじ
 鎌倉に住む七郎は、定職につかず気ままな生活を送る遊び人。彼の友人たちと共に長続きしない恋愛を繰り返し、怠惰な毎日を過ごしているのだが・・・。『接吻』の他、『クリスマス・ケーキ』『挨拶』『少年』『ビーチハウスで』『三面記事』

 作品の舞台
 鶴岡八幡宮・・・いさ子は八幡宮近くのケーキ屋にクリスマスケーキを買いに行きます。
 宝戒寺・・・七郎の家は宝戒寺の近くにあります。
 由比ガ浜・・・七郎はいさ子に最中のおいしい和菓子店を紹介します。
 第一小学校・・・南田夫人の母校です。
 鎌倉駅・・・七郎が藤子・明と出会う喫茶店があります。また、三芳の経営する喫茶店もあります。
 天園・・・七郎と藤子は、若い頃に天園へハイキングに行きました。
 源平池・・・少年は池で鯉を釣ります。
 小町通り・・・ポロシャツの男の店があります。
 長谷・・・信三の家があります。
 登場人物
矢方 七郎 無職。30歳。鎌倉在住。Q大学卒。
幹彦 七郎の友人。30歳。
信三 七郎の友人。
七郎の友人。
三岸いさ子 元・幹彦の彼女。大磯在住。母子家庭。
とも子 幹彦の彼女。七郎とも関係がある。
川部 夫人 Q大学のOG。
南田 夫人 Q大学のOG。
羽石  明 京都の小学校教師。Q大学文学部哲学科で児童心理を専攻。
羽石 藤子 明の妻。元・七郎の彼女。
少年 源平池で釣りをする少年。
親爺 源平池の茶店のおやじ。
ポロシャツの男 小町通りで缶詰やコーヒーを売る店の主人。
三芳 鎌倉駅前にある喫茶店のマスター。
売春婦。
刑事 鎌倉署刑事。
鎌倉駅で飛び込み自殺を図る女。
駅員 鎌倉駅の駅員。
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銀婚式 立原正秋 角川書店
あらすじ
 健三が婿養子に入って25年になる但馬家は代々女系家族で、常に長女が婿養子をもらい受け家系が続いていた。ただ彼は養子という立場に嫌気がさし、この選択は間違っていたと思うようになっていた。健三夫婦の銀婚式でも、長女の栄子は自分の夫を婿養子に入れることを嫌がっている。そこで健三はその翌日妻の雪子に養子業を廃止し、今後は亭主関白を貫くと宣言するのだが…。


 作品の舞台
 二階堂・・・但馬健三邸があります。
 登場人物
但馬 健三 鎌倉に住む大蔵省官僚。51歳。但馬家の婿養子。旧姓・築島。
但馬 雪子 健三の妻。47歳。
但馬 栄子 健三の長女。24歳。
但馬美智子 健三の次女。
但馬 圭子 健三の三女。
但馬奈美子 健三の四女。
但馬 京助 雪子の父。健三の義父。元・大蔵省官僚。自宅内の隠居所で暮らす。
但馬 志乃 京助の妻。雪子の母。健三の義母。
但馬 梅子 志乃の次女。
但馬 松子 志乃の三女。
富永 月子 志乃の四女。
富永 月子の夫。商社マン。
脇田 一衛 梅子の息子。26歳。。
築島 健一 健三の兄。
但馬 せつ 志乃の長妹。
但馬 いく 志乃の次妹。
但馬 よね 志乃の三妹。
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死の季節 立原正秋 角川書店
あらすじ
 美術館職員の壬生は、友人の妹・夏子との仲を火遊びのつもりで楽しんでいたが、夏子の夫が出張先で女を囲っている話を聞くと、壬生との愛を真剣に深めようとするようになった。そしてついに心中を図るまでに至ったものの、死ぬ気のない壬生は偽装心中を実行する…。


 作品の舞台
 材木座・・・塩尻英助宅があります。
 長谷・・・壬生の勤め先である倉島美術館があります。
 若宮大路・・・壬生と夏子がいい仲になります。
 稲村ガ崎・・・壬生は妻を神経科医院に入院させます。
 登場人物
壬生 倉島美術館副館長。31歳。
壬生 笙子 壬生の妻。
塩尻 英助 「塩尻炭鉱」副社長。月の半分を九州で暮らす。
塩尻 夏子 英助の妻。日本女子大学卒。旧姓・富永。
富永悠一郎 夏子の兄。壬生の友人。
婆や 塩尻家の婆や。
杉内 倉島美術館館長。
医師 海岸病院の医師。
看護婦 海岸病院の看護婦。
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最後の仕舞 立原正秋 角川書店
あらすじ
 亡姉の夫の後妻となった冴子は、実家から鎌倉に引っ越してからも日本舞踊を止めずにいた。今では同じ流派の師匠についているのだが、師の大塚が体を悪くしたため、大塚の代理としてやってきたのは冴子の元恋人だった松永道造だった…。


 作品の舞台
 蛭子神社・・・社務所の2階が日本舞踊喜多流の稽古場になっています。
 材木座・・・大塚九郎宅があります。
 小町・・・遠野祐三宅があります。
 北鎌倉・・・道造と冴子が密会します。
 登場人物
遠野 祐三 学術出版社の編集局長。随筆家。47歳。
遠野 冴子 祐三の後妻。27歳。日本舞踊「喜多流」の弟子。
遠野 弓子 冴子の亡姉。祐三の亡妻。
遠野 幸子 祐三と弓子の長女。
遠野 伸子 祐三と弓子の次女。
松永 英次 新宿の喜多流師範。冴子の前師匠。
松永 道造 英次の息子。喜多流師範。
松永 澄江 道造の妻。
大塚 九郎 鎌倉の喜多流師範。冴子の師匠。
加島 大塚の弟子。
須藤恵美子 大塚の弟子。
内儀 北鎌倉の料亭の女将。
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春の病葉 立原正秋 角川書店
あらすじ
 父と二人暮らしの藤野和子は、遠縁の有賀久常といい仲であったものの、久常は根っからの遊び人で今日も賭博現行犯で留置されてしまっている有様だ。それでも和子は久常に魅かれているようなのだが…。


 作品の舞台
 稲村ガ崎・・・藤野修平宅があります。
 雪ノ下・・・有賀久常宅があります。
 小町・・・徳子の経営する美容院があります。
 姥ヶ谷・・・北野一也宅があります。
 登場人物
藤野 修平 定年後に妻を亡くし娘と二人暮らしをしている男。
藤野 和子 修平の娘。23歳。
有賀 久常 修平の遠縁。現在、一人暮らし。
徳子 和子の学生時代の友人。23歳。美容師。
幸子 横浜に住む修平の妹。
ばあや 有賀家のばあや。
北野 一也 久常の学生時代の友人。陶芸家。
悦子 久常の遊び仲間。会社役員夫人。
工藤 藤野家の近所に住む主婦。
マダム バー「ライラック」のマダム。
院長夫人 海岸病院院長の夫人。
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立原正秋 角川書店
あらすじ
 結婚して8年経つがまだ子供がいない澄子は、夫の太郎が乗馬にのめりこむ姿を見ていささか不信感をおぼえていた。彼女の勘は当たっており、夫は乗馬倶楽部に所属する上流階級の夫人たちと楽しんでいるようだった。中でもメンバーで医師の妻の田鶴子は、容姿端麗で澄子はさらに嫉妬感を募らすのだが…。


 作品の舞台
 七里ガ浜・・・太郎は七里ガ浜の有料道路で落馬します。
 登場人物
久鬼 太郎 私立大学の英文学の講師。七里ガ浜にある乗馬倶楽部のメンバー。
久鬼 澄子 太郎の妻。33歳。結婚して8年経つが子供はいない。
中井 医師 落馬した太郎が入院した病院の医師。
中井田鶴子 中井の妻。36歳。乗馬倶楽部のメンバー。容姿端麗。
細川いく子 乗馬倶楽部のメンバー。背が高い。バツイチ。
河田夫人 乗馬倶楽部のメンバー。顔が丸い。
長沼夫人 乗馬倶楽部のメンバー。そばかす美人。
生母 澄子の母。
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相聞歌 立原正秋 角川書店
あらすじ
 高校教師の早瀬は、徳岡邸で行われた花見を兼ねた歌会の席で、容姿がきれいな徳岡の姪の田鶴子に一目惚れをした。しかし彼女は足にある大きな火傷の痕がコンプレックスとなり、幾度も縁談を断り続けていた。どうしても彼女のことを諦めきれない早瀬は、徳岡を通して交際を申し込むのだが…。


 作品の舞台
 北鎌倉・・・徳岡基家邸があります。
 登場人物
早瀬 恒信 逗子に住む高校の国語教師。
徳岡 基家 歌誌「樹木」の主幹。
城戸田鶴子 辻堂に住む基家の姪(姉の子)。25歳。足に醜く大きな火傷の痕を持つ。
早瀬 裕子 恒信の兄嫁。
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暗い春 立原正秋 角川書店
あらすじ
 早稲田大学文学部の「創作研究会」で文章を書いていた有坂は、何かやりきれない思いを持ち続けていた。以前所属していた「マルクス主義研究会」とも思想のずれから嫌気がさし、さらに同郷の恋人・妙子との仲もうまくいかなくなっていた。そんなある日、元行は妙子が研究会の先輩の篠塚と同棲を始めたことを知った…。


 作品の舞台
 浄明寺・・・有坂元行の家があります。
 材木座・・・南原妙子の家があります。
 鎌倉駅・・・妙子の母が経営する小さなバーがあります。
 登場人物
有坂 元行 早稲田大学文学部国文科2年。「創作研究会」所属。元・「マルクス主義研究会」メンバー。鎌倉在住。
南原 妙子 早稲田大学文学部国文科2年。「マルクス主義研究会」所属。元行の彼女。鎌倉在住。
萩原 早稲田大学文学部独文科2年。元行の親友。逗子在住。
鹿田 栄助 早稲田大学文学部国文科3年。「マルクス主義研究会」の幹部。元行の7歳年上。
笹村正次郎 早稲田大学政経学部3年。「マルクス主義研究会」所属。
小田島 進 早稲田大学文学部国文科3年。「マルクス主義研究会」所属。
本庄 道雄 早稲田大学文学部国文科3年。「マルクス主義研究会」所属。
篠塚 早稲田大学法学部3年。「マルクス主義研究会」所属。
寒山 早稲田大学文学部国文科2年。「創作研究会」所属。
窪口 早稲田大学文学部仏文科1年。「創作研究会」所属。
鳥本 早稲田大学文学部史学科1年。「創作研究会」所属。
瀬野 早稲田大学文学部露文科2年。
君島 俊子 早稲田大学文学部露文科2年。
高林  宏 早稲田大学文学部英文科2年。
谷村 早稲田大学文学部長。「創作研究会」顧問。
井口 早稲田大学文学部教授。元・将校。
新見 早稲田大学文学部独語講師。
本村 早稲田大学文学部仏語講師。
川村 早稲田大学文学部言語学講師。
有坂 広正 元行の母方の祖父。鎌倉で元行と同居。
幾子 有坂家の婆や。
有坂 元成 元行の亡兄。
富永 広正の謡曲仲間の老人。
富永 糸子 富永の孫娘。女子大生。
木仲 隆一 新進の左翼文藝評論家。小田島の兄。
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荻野村にて 立原正秋 角川書店
あらすじ
 庭に植える雑木を探すために厚木へ向かった石島は、そこで10年ぶりに侑子と再会した。侑子は地元の「安養寺」に嫁ぎ、4人の子供たちと暮らしている。石島と侑子は戦時中空襲にあい、生死の境目を彷徨った仲だった…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・侑子の実家は、鎌倉の「浄土寺(架空の寺名)」です。
 登場人物
石島 骨董商。元・高校教師。
小野 侑子 厚木にある「安養寺」の住職の妻。44歳。実家は鎌倉の「浄土寺」。
小橋 勝一 植木職人。25歳。
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冬の旅 立原正秋 新潮文庫
あらすじ
 宇野幸助は母の澄江を犯そうとした義兄の修一郎を刺したが、事実を告げぬままに少年院へ送られてしまう。母親への哀惜の念と義兄への復讐を胸に少年院生活を送る幸助。そんな姿に同じ少年院仲間や看守たちは一目置くようになるのだが…。


 作品の舞台
 円覚寺・・・隆の墓があります。
 大船・・・宇野電機の工場があります。
 極楽寺・・・幸助の生家があります。
 登場人物
宇野 幸助 少年院生。18歳。高校2年生。仮出所後は西北大学理工学部1年。知能指数は165。
矢部 澄江 幸助の母。38歳。小田原生まれ。前夫を亡くし利一のもとに嫁ぐ。
矢部  隆 幸助の亡実父。高校の物理教師。
宇野 理一 幸助の義父。45歳。宇野電機(株)社長。
宇野修一郎 幸助の義兄。20歳。神田大学経済学部1年。甘やかされて育つ。
宇野 悠一 理一の父。宇野電機(株)会長。修一郎を甘やかす。
宇野 園子 理一の母。
佐藤つる子 宇野家の若い家政婦。
安坂 宏一 幸助の少年院仲間。18歳。仮出所後はラーメン屋を経営。
天野 敏雄 幸助の少年院仲間。20歳。あだ名は「利兵衛」。
寺西 保男 幸助の少年院仲間。18歳。仮出所後はバーテンダー。
黒川  誠 幸助の少年院仲間。18歳。仮出所後はバンドマン。
佐倉 常治 幸助の少年院仲間。18歳。仮出所後は新劇の劇団員。
河豚 幸助の少年院仲間。
メリケン 幸助の少年院仲間。
広田 佑介 幸助の少年院仲間。
大塚 菊雄 幸助の少年院仲間。
藤村 厚子 宏一の妻。20歳。
安坂 行宏 宏一と厚子の子。
厚子の母。43歳。
バーテン 母の愛人。32歳。
桜田 保代 理一の秘書。
加能彦次郎 宇野電機(株)営業部重役。修一郎の教育係。
高柳繁太郎 宇野電機(株)若手社員。修一郎のとりまき。
中尾 精一 宇野電機(株)若手社員。修一郎のとりまき。
倉本 文三 宇野電機(株)若手社員。修一郎のとりまき。
英太郎 澄江の兄。
幸子 英太郎の妻。
佐々原 宏 多摩少年院院長。
山本 豊一 多摩少年院副院長。
木場 秀三 美ヶ崎少年院院長。
平山  亮 少年鑑別所長。
トシ子 修一郎と知りあった遊び女。17歳。
大友 繁子 厚子の友人。19歳。
笠田 雪江 厚子の友人。20歳。
美佐子 天野の彼女。21歳。バーのホステス。
青葉初太郎 タイガーレコード専務。
辰野 福子 タイガーレコード所属の若手歌手。
名倉 洋子 福子の友人。
皆川 静江 福子の友人。
相沢 伊助 天野の悪友。
君塚 黒川の友人。
早原 寿一 佐倉が所属する劇団の座長。
山村 幸助の友人。西北大学法学部1年。
庄野 道雄 経堂に住む会社員。44歳。
君島  博 庄野の友人。39歳。
江原 雑誌記者。
徳山 刑事。
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ちぎれ雲 立原正秋 角川書店
あらすじ
 夫を自動車事故で失った初江は、「三十後家」となって2年が過ぎようとしていた。嫁ぎ先の西島家ではそんな彼女に縁談をすすめるのだが、彼女の気もまったくすすまなかった。初江の実家では、兄が友人の大学講師・成田との仲を取り持とうとしているが、成田は彼の指導教授からの縁談を断れず、別の女性と結婚しようとしていた…。


 作品の舞台
 雪ノ下・・・初江の実家があります。
 極楽寺・・・和江の家があります。
 瑞泉寺・・・初江たちはお寺で懐石料理を食べます。
 登場人物
西島 初江 未亡人。32歳。亡夫との間に男の子供がいる。
西島 初江の亡夫。電気技師。2年前に自動車事故死。
敏春 初江の兄。
良子 敏春の妻。29歳。
成田 卓也 敏春の友人。大学の助教授。36歳。
藤田 成田の指導教授。関西に住む大学の東洋史の教授。
藤田の娘。成田との縁談が持ち上がっている。
宇野つる子 初江の学生時代の友人。
遠藤 初江と亡夫との媒酌人。