立原正秋の作品(その2)
立原正秋の作品です。
作品名 発行年
1963
十万円の弁当 1964
光と風 1965
雪のなか 1967
船の旅 1967
わかれ 1967
おんなの足音 1967
花のいのち 1967
女の部屋 1968
血と砂 1972
冬のかたみに 1975
.
立原正秋 角川書店
あらすじ
 『足袋の音』『海へ』の2編からなる短編小説。四郎はふとしたことから始まった年上の人妻・繁子との肉体関係をやめられずにいた。ガールフレンドの槇子はそんな四郎を心配するのだが…(『足袋の音』)。


 作品の舞台
 鎌倉山・・・四郎の家に近い鎌倉山のバス停の待合室に、四郎に関する落書きが書かれます。
 長谷・・・四郎は繁子と能の会に出かけます。
 登場人物
四郎 大学生。「足袋の音」の登場人物。
槇子 四郎のガールフレンド。「足袋の音」の登場人物。
相良 繁子 自衛隊員の妻。退役海軍少将の娘。「足袋の音」の登場人物。
土屋 四郎の友人。「足袋の音」の登場人物。
四郎の友人。「足袋の音」の登場人物。
「海へ」の主人公。「海へ」の登場人物。
私の父。「海へ」の登場人物。
従兄 私の従兄。証券会社社員。「海へ」の登場人物。
陽子 漁師町に住む娘。体が弱い。「海へ」の登場人物。
.
十万円の弁当 立原正秋 角川書店
あらすじ
 4編からなるショートストーリー『掌の小説』のうちの1編。雑誌記者の手寺は、作家の信吾に原稿料を届けるため彼の住む鎌倉に向かっていたが、その途中電車内で10万円の札束の入った封筒を拾った…。


 作品の舞台
 長谷・・・信吾の家があります。
 登場人物
信吾 鎌倉に住む小説家。
手寺 雑誌記者。
中村 信吾の友人。小説家。酒好き。手寺とは同人誌仲間。
.
光と風 立原正秋 角川書店
あらすじ
 子どものころに相次いで両親を殺された雛子と加代。彼女たちはそれぞれ違う家に引き取られ14年の時が過ぎた。姉の雛子は現在ピアニストの燿子のもとで独身のままピアノ教師として育ち、妹の加代は鎌倉の飲食店で育ち結婚して夫の店を手伝っていた。その加代がこのところ夫の目を盗んで、海へ行き若者たちと遊んでいると夫の姉が気づき始めていた…。


 作品の舞台
 鎌倉駅・・・駅前に加代が働く小料理店があります。
 材木座・・・雛子が中学1年生で引き取られた矢代義明宅があります。
 海浜ホテル・・・燿子が滞在します。
 安国論寺・・・竜の家は安国論寺の近くにあります。
 登場人物
雛子 ピアノ教師。23歳。両親を失い、身内は妹だけ。
加代 雛子の妹。21歳。小料理屋で働く。
耕太郎 雛子・加代の亡父。逗子市小坪の漁師。14年前に銛で刺殺される。
雛子・加代の亡母。11年前に銛で刺殺される。
甚造 小坪の網元。
雄吉 甚造の息子。耕太郎と菊を刺殺し死刑囚となる。
矢代 義明 材木座に住む雛子の亡養父。
矢代 輝久 義明の息子。
長沼 燿子 輝久の従姉。ピアニスト。義明の死後、雛子を引き取る。
戸田れい子 矢代家の奉公人。婆や。
加代の夫。小町の小料理店を経営。
幸子 宏の姉。浩志の店を手伝う。
加代の愛人。麻薬の密売人。
岡本 加代の元愛人。
加代の元愛人。
浅野 麻布に住む外交官の妻。輝久の愛人。
.
雪のなか 立原正秋 角川書店
あらすじ
 3年前から突然能面師となった泰次は、昔から中途半端な男女の付き合いを続けている小料理店の女将・葉津に彼女の郷里の山形へ行かないかと誘いをかけた。何年と郷里の鶴岡市に戻っていない葉津は泰次と夫婦として帰りたい様子だが、泰次の目的は違った。それは彼が魅了された黒川村の伝統行事「黒川能」を観ることだった…。


 作品の舞台
 小町・・・泰次の妻が経営する鎌倉彫店「白居堂」があります。
 長谷・・・葉津が経営する小料理店「酒蔵葉津」があります。
 登場人物
白河 泰次 能面師。3年前に鎌倉彫店主から突然能面師となる。
白河有紀子 泰次の妻。3年前から鎌倉彫店「白居堂」の店主となる。
葉津 小料理店「酒蔵葉津」の女将。泰次といい仲。
剣持  泉 山形県黒川村の農夫。以前泰次が魅了された上座能太夫。
遠藤 黒川村の農夫。今年の上座能太夫。
老婆 黒川村の老婆。
.
船の旅 立原正秋 角川書店
あらすじ
 江ノ島からクルーザー旅行に出発した秀治たち。このクルージングは秀治の妻・圭子が夫との中を修復しようと計画し1週間ほどかけて九州まで向かうものだったが、秀治は圭子の浮気癖に飽き飽きしており仕事を理由に途中で下船しようとしていた…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・田所秀治宅があります。
 登場人物
田所 秀治 雑誌社の編集長。
田所 圭子 秀治の妻。画家。旧姓・四賀。
四賀 耀子 圭子の妹。独身。
四賀 周造 圭子・耀子の父。「四賀証券」社長。
加茂 健二 圭子の愛人。
春山 志乃 秀治が昔思いを寄せていた女性。
.
わかれ 立原正秋 角川書店
あらすじ
 長い間鎌倉で不倫関係を続けてきた長浜と静子。静子は夫と別れ長浜と夫婦になりたがっている様子だったが、長浜は突然彼女に別れを切り出した。そこで2人は今まで付き合ってきた12年間を振り返ってみるのだが…。


 作品の舞台
 極楽寺切通・・・長浜と静子は、レモンをかじる少年と出会います。
 長谷・・・長浜と静子は長い間、毎日曜日に逢瀬を重ねてきました。
 登場人物
長浜雄次郎 逗子の骨董店「温故堂」の店主。
淀川 静子 横浜に住む人妻。41歳。長浜と12年間不倫を続けている。
淀川 和六 静子の夫。デパートの経理部長兼専務。釣り好き。
.
おんなの足音 立原正秋 角川書店
あらすじ
 蓉子は友人の父の陶芸家・堂本寒山から縁談を持ち込まれた。相手は寒山の弟子で年齢がひとまわり上の陶芸家・河北弘之だった。しかし彼女は父からも開業医の若杉基二との縁談も受けていた…。


 作品の舞台
 鎌倉・・・蓉子の父は、鎌倉で開業医をしています。。
 北鎌倉・・・曜子の茶道の師匠の家があります。
 極楽寺・・・堂本寒山邸があります。
 登場人物
堂本 寒山 陶芸家。
堂本 英子 寒山の娘。
蓉子 英子の友人。23歳。
蓉子の父。鎌倉の開業医(内科)。
桓夫 蓉子の兄。
若杉 基二 逗子の開業医(内科)。33歳。
河北 弘之 湯河原に住む陶芸家。40歳。寒山の弟子。
.
花のいのち 立原正秋 新潮社
あらすじ
 石油会社の御曹司の妻・柚木窈子は、夫の浮気を知らせれても嫉妬心がわくこともなかった。そして実家に戻ることになった彼女に、夫は離婚を切り出してきた。独り身になった窈子は柚木家からもらった沼津の別荘に移り、出版社に勤める兄の助言で、別荘を出版社の保養所にした。そして彼女はそこで出会った美術史家の織部周二に心惹かれてしまう…。

 作品の舞台
 扇ヶ谷・・・窈子の生家・鍋島家があります。
 長谷・・・北野民部邸があります。
 瑞泉寺・・・窈子は、4人の薙刀の弟子と散策に行きます。
 登場人物
柚木 窈子 鎌倉に住む人妻。26歳。薙刀4段。旧姓・鍋島。
柚木 正宏 窈子の夫。「東洋石油」重役。37歳。
柚木久美子 窈子と正宏の娘。2歳。
柚木 伊助 正宏の父。「東洋石油」取締役。
柚木 定子 正宏の母。
鍋島 克之 窈子の父。歌人。58歳。
鍋島 克一 窈子の兄。神田小川町にある出版社「翰林社」の出版部次長。。
織部 周二 美術史家。妻を亡くして独り身。
初山 泰子 周二の義妹。25歳。
初山 宏子 周二の義妹。泰子の妹。
初山 友成 泰子・宏子の父。化学会社社長。
幸子 柚木家の女中。38歳。
磯野 照子 正宏の愛人。正宏との間に3人の子供がいる。
北野 民部 正宏と窈子の媒酌人。63歳。克之の歌読み仲間。伊助とは財界人つながり。
志賀三千代 窈子の薙刀の弟子。大学生。
佐伯 初子 窈子の薙刀の弟子。大学生。
植田 京子 窈子の薙刀の弟子。大学生。
田所 澄江 窈子の薙刀の弟子。大学生。
社長 「翰林社」社長。克一の上司。
若林 「翰林社」の若い社員。
鈴木 柚木家の沼津の別邸の管理人。
松村 実照 奈良の当麻寺の大僧正。
門跡尼 奈良の中宮寺の尼。
老僧 奈良の薬師寺の僧。
女将 周二が行きつけの芝の料亭の女将。
.
女の部屋 立原正秋 文春文庫
あらすじ
 小説家くずれで酒と女と暴力に明け暮れる日々を過ごしてきた更科信彦。今もなお人妻との不倫関係を愉しむ彼は、ふと過去の女性遍歴を振り返るのだが…。


 作品の舞台
 海水浴場・・・信彦と京子が出会ったのは、材木座と由比ガ浜の中間あたりの海水浴場です。
 材木座・・・ジェームス宅があります。
 鎌倉湖・・・信彦と一衛はナンシーを襲います。
 長谷・・・長谷にあるレストランで信彦はヤクザと一悶着おこします。
 二階堂・・・徳岡有為子が暮らす徳岡邸があります。
 大船・・・浜田が勤める土建屋があります。
 登場人物
更科 信彦 大磯に住む小説家。41歳。
更科 蕗子 信彦の妻。
兵頭 一衛 信彦の悪友。新聞記者。
藤子 一衛の婚約者。数年前にレイプされ自殺する。
ジェームス アメリカ兵。30歳。藤子をレイプした張本人。
ナンシー ジェームスの妻。25歳。
牟礼 京子 信彦と不倫関係を続けている人妻。38歳。
鶴子 小田原生まれの未亡人。45歳。信彦といい仲。
徳岡有為子 二階堂に住む貿易会社社長の妻。45歳。信彦といい仲。
谷川 信彦の中学時代の友人。横須賀で割烹料亭「きぬがさ」を経営。
千代 谷川の妻。
松さん 「きぬがさ」のベテラン板前。
北見 菊江 「きぬがさ」の住み込み仲居。44歳。
北見 隆二 菊江の夫。横須賀にある「新見組」のヤクザ。現在拘留中。
圭子 バーのホステス。
小木 圭子のパトロン。藤沢にある「小木薬局」の店主。
高橋  明 信彦の学生時代の友人。小説家志望。病死。
冬川 武二 信彦の学生時代の友人。都庁勤めの役人。
親父 信彦の馴染みの寿司屋の主人。
浜田 大船の土建屋。
.
血と砂 立原正秋 ポケット文春
あらすじ
 木刀造りの職人として自由奔放な生活を送る北ノ庄浩作。彼は鵠沼で行われた仮面舞踏会で、里子という人妻と出会った。その後、浩作の周りには数々の女性が現れるが、彼の心は彼女にとらえられていた。そんなある日、義姉のすすめで浩作に縁談が持ち込まれたが、彼の女遊びは一向にやむことはなかった…。


 作品の舞台
 稲村ガ崎・・・高村有正が道場主をつとめる剣道場「修道館」があります。
 鎌倉駅・・・三浦半島をドライブした後、真田は才子を駅まで送ります。
 登場人物
北ノ庄浩作 鵠沼に住む木刀造りの職人。28歳。
真田  茂 浩作の悪友。鵠沼に住むサラリーマン。28歳。
古川 洋介 浩作の悪友。鵠沼に住む西洋家具製造会社の社長。39歳。
古川 里子 洋介の妻。32歳。
更科 信彦 大磯に住む小説家。元・浩作の家庭教師。
橋田 琢次 螺子会社の総務部長。40歳。
橋田 栄子 琢次の妻。
奥村 才子 琢次の愛人。23歳。螺子会社の総務部員。
木村 豊子 才子の同僚。螺子会社の総務部員。
酒下 精神科医。
酒下百合子 酒下の妻。
北ノ庄杉子 浩作の兄嫁。
磯村 杉子の学生時代の友人。
三国 房子 浩作の見合い相手。23歳。磯村の妹。跛の娘。
いね 古川家のお手伝い。庭師の妻。
高村 有正 稲村ガ崎にある剣道場「修道館」の道場主。
広田 行成 真田が勤める会社の人事部長。浩作の兄の学友。
実枝子 洋介の愛人。バーのホステス。
チーちゃん 洋介の知人。金持ちの娘。
寿子 洋介の知人。金持ちの娘。
友成 繁子 洋介の知人。25歳。遠洋航路の船員の妻。
梶田 理恵 洋介の知人。25歳。遠洋航路の船員の妻。
宮石 洋介の知人。大学生。
柴野 洋介の知人。大学生。
高山 有七 更科の友人。若い小説家。
前藤 明八 更科の友人。若い小説家。
相馬 北ノ庄家の裏の住人。
.
冬のかたみに 立原正秋 新潮社
あらすじ
 幼い頃に父の亡骸が家に運ばれて以来、少年期を禅宗の修業であけくれた国東重行。彼は日韓混血の宿命と背負い、生きていくことになるが…。立原正秋の自伝的小説。


 作品の舞台
 建覚寺・・・重行の家は寺の前にあります。「建覚寺」は架空の寺名ですが、円覚寺がモデルになっています。
 山崎・・・重行は山崎の百姓からヤミ米を買います。
 登場人物
国東 重行 文学部教授。少年期は「梵海禅文」という名で禅宗の修業をする。
国東 昌子 重行の妻。
国東  俊 重行と昌子の子。
重行の父。「閒居円俊」として無量寺の総務長を務める。
重行の母。
文  鐘台 国東家の下男。22歳。
権  淑河 国東家の下女。17歳。
李  麗安 国東家の下女。16歳。
無用 松溪 無量寺の老師。
虚白堂清眼 釈王寺住持。元・無量寺総務長。
雪潭 逍遥 白羊寺住持。
江西 方林 月精寺住持。
石門 了覚 祇林寺住持。無量寺の役僧。
闊堂 常宗 祇林寺の青年僧。
朴中 碩林 建覚寺の雲水頭。
井田 東京の私大の医局の職員。建覚寺へ参禅に通う。
笹塚 熱海の旅館の息子。建覚寺へ参禅に通う。
南雲 重行の従兄。
東鐘 重行の従兄。
叔父 重行の叔父。医師。
韓  載元 叔父の使用人。
韓  順子 載元の妹。
金  棠花 叔父の医院の入院患者。資産家の娘。
谷田 精三 重行が勤める大学の文学部長。
土屋 重行が勤める大学の文学部教授。
唐島 重行が勤める大学の女子生徒。
秦  光輝 重行の友人。実家は牧場。
権  寧変 重行の友人。朝鮮時代の同級生。
北田  誠 重行の友人。大学の先輩。交通公社に勤務。
首頭 貞司 重行の剣の師匠。
矢野健三郎 重行の小学校時代の校長。
鈴木 重行の学生時代のクラス担任。
寿子 昌子の妹。小学6年生。
寺沢 南雲・東鐘の中学時代の同級生。
素封 町の醸造元の経営者。
仁勲 国東家の隣人。
妓生 父の愛人。