芝木好子の作品
芝木好子の作品です。

芝木好子
 1942年に『青果の市』で第14回芥川賞受賞。1987年には『雪舞い』で毎日芸術賞を受賞。女性の恋愛と芸術に関する内容の作品が多い。
作品名 発行年
悪縁の兆 1952
青磁帖 1971
冬の椿 1971
光琳の櫛 1985
鎌倉まで 1989
雪舞い 1991
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悪縁の兆 芝木好子 読売新聞社
あらすじ
 会社役員の国原は妻・孝子が毎回欠かさず顔を出す鎌倉の茶席に文句も言わずに送り出してくれる優しい夫だった。しかし孝子は彼女の従姉の夫で大学講師の安川と鎌倉の仕事部屋で逢瀬を重ねているのだった…。

 作品の舞台
 北鎌倉・・・孝子は表千家の釜日に出席します。また安川の仕事部屋があります。
 登場人物
国原 都内に住む食油会社の重役。
国原 孝子 国原の妻。表千家茶道の内弟子。
安川 幹夫 古代史専攻の大学講師。孝子の愛人。北鎌倉の寺の僧坊に仕事部屋を持つ。
安川つゆ子 幹夫の妻。孝子の従姉。
長男 幹夫とつゆ子の長男。幼稚園児。
次男 幹夫とつゆ子の次男。1歳。
祖父 つゆ子の祖父。
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青磁帖 芝木好子 読売新聞社
あらすじ
 父に勧められ美濃の陶工・影山泰良の志野や織部を蒐集している柳瀬隆吉は、同じ市内に住む美術評論家・榊達介から「第二の影山泰良」と呼ばれる無名の陶工・高能次郎のことを知らされた。そして隆吉は彼を訪ねて愛知へ向かう・・・。

 作品の舞台
 北鎌倉・・・柳瀬隆吉宅があります。
 二階堂・・・榊達介宅があります。
 瑞泉寺・・・隆吉・須恵子・達介・小堀の4人が寺を訪ねます。
 登場人物
柳瀬 隆吉 北鎌倉に住む元電機メーカー社員。泰良の茶碗の蒐集家。
柳瀬 直子 隆吉の妻。
長男 隆吉と直子の亡長男。早逝。
柳瀬須恵子 隆吉と直子の長女。美術関係の出版社編集担当。
隆吉の亡父。船舶会社役員。
影山 泰良 美濃・多治見の陶工。主に志野や織部を焼く。隆吉の3歳年上の友人。
高能 次郎 尾張・猿投山の陶工。主に青磁を焼く。「第二の影山泰良」と呼び声が高い腕前。
高能 種子 次郎の妻。
高能  健 次郎の息子。
榊  達介 鎌倉市二階堂に住む美術評論家。
小堀 一男 榊の助手。大学時代の弟子。
青年A 大学時代の須恵子の恋人。
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冬の椿 芝木好子 講談社
ロマンブックス
あらすじ
 母・たけ子の体を考えて笹田香澄は、東京・本郷から鎌倉へ引越しをすることになった。隣家には未亡人の瀬木寿子とその息子・龍彦が暮らしている。商事会社を親から継ぎ社長を務める龍彦は、共通の趣味である美術の話が合い香澄は次第に彼と親しくなっていった。一方、香澄が通う画学校には、彼女と同じ絵描きの卵たちが集っていたが、仲間の一人で香澄の彼氏・伊吹のもとに召集状が届いてしまった…。

 作品の舞台
 北鎌倉・・・香澄たちが引っ越してきます。
 壽福寺・・・香澄と伊吹が待ち合わせて、今後の話をします。
 登場人物
笹田 香澄 お茶の水にある画学校「K絵画研究所」の研究生。東京生まれ。後に龍彦の妻になる。
笹田たけ子 香澄の母。体が弱い。
香澄の亡父。たけ子の亡夫。大学講師。
笹田 正信 香澄の兄。たけ子の長男。本郷西片町の実家に住む会社員。
瀬木 龍彦 鎌倉の笹田家の隣人。商事会社を親から引き継ぐ若社長。
瀬木 寿子 龍彦の母。上品な夫人。
龍彦の亡父。寿子の亡夫。3年前に死亡。
高良 雪子 龍彦の姉。寿子の長女。大学助教授に嫁ぐ。
伊吹 慎一 「K絵画研究所」の研究生。香澄の彼氏。長野生まれ。召集状が届きレイテ島に向かう。
森  洋子 「K絵画研究所」の研究生。香澄の友人でもあるが、後に彼女の夫・龍彦の愛人となる。
小巻 「K絵画研究所」の研究生。後に画学校を辞め、満州の映画会社に就職する。
高良 雪子の夫。大学の歴史学の助教授。
香澄の絵描き仲間。
敬の亡妹。東京大空襲で死亡。
敬の妻。ピアノ教師。
瀬木 京子 龍彦と香澄の長女。
瀬木 行彦 龍彦と洋子の長男。京子の異母兄。
百合子 京子の友達。
陸軍少尉。慎一の中学の同窓。
ジャンセン アメリカ陸軍中尉。
菊池 染色家。美術大の染色の講師。
安川 品子 伊吹のパリ留学時代の友人。伊吹の来日と共に日本へやってくる。
桂木 敬の絵の師。
主婦 伊吹の下宿先の大家。主婦。
医師 寿子の老主治医。
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光琳の櫛 芝木好子 新潮文庫
あらすじ
 赤坂の料亭の女将・久住園は櫛と能面の蒐集家で、常連客が口にする古美術の話に目を輝かせていた。美術史家で大学講師の高垣が店に訪れた際にも、彼の伯母・江越仲子が持つ希少なギヤマンの櫛の話に心が弾んでいた。そこで高垣は園を連れて仲子が住む鎌倉へ向かうことになった…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・江越仲子宅、深沢逸雄宅があります。
 登場人物
久住  園 赤坂の料亭「雪園」の女将。古美術マニア。櫛と能面の蒐集家。
高垣 麻男 美術史家。大学の美術史講師。
香島 玲子 古美術系出版社に勤める高垣担当の編集員。
江越 仲子 鎌倉に住む麻男の伯母。亡夫が蒐集した美術品を管理している。
江越 仲子の亡夫。地質学者。
梅塚 「雪園」の常連客。高名な能面蒐集家。高垣・園の友人。
由良 「雪園」の常連客。鉄鋼会社社長。園の愛人。築地の病院に入院中。
由良の妻。介護疲れで体を悪くしている。
由良 栄彦 由良の長男。鉄鋼会社専務で次期社長。
秘書 由良の秘書。
波木 栄彦の側近。鉄鋼会社役員。
深谷 「深谷商事」社長。
深谷 秋子 深谷の長女。玲子の友人。
大井 律子 仲子の友人。趣味は骨相学。
深沢 逸雄 鎌倉に住む櫛蒐集家。72歳。元・財閥会社監査役。
一成堂 京都の古美術骨董商。
黒沼 逗子に住む印籠蒐集家。
辰巳 光人 美術史家。T美術館館長。
古美術系出版社の出版部長。
橋田 「雪園」の料理人。
小森 「雪園」の料理人。
春代 「雪園」の女中頭。
たつ子 「雪園」の女中。
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鎌倉まで 芝木好子 集英社文庫
あらすじ
 叔母の佐枝子を病院で看取った後、姪の夏子は仕事仲間で写真家の中原とともに、佐枝子の主治医・伊能の家へ向かった。そこで彼らは佐枝子の想い出話をするのだが、それは佐枝子・中原・伊能の三角関係の話だった…。

 作品の舞台
 段葛・・・夏子は中原と共に段葛を通って、伊能の家に向かいます。
 雪ノ下・・・伊能の家があります。
 登場人物
川瀬佐枝子 ベテラン雑誌記者。42歳。ガンで死亡。
夏子 佐枝子の姪。染織作家。
中原 写真家。32歳。佐枝子の仕事仲間。
伊能 佐枝子の主治医。
前夫 佐枝子の前夫。画家。
博士 千葉に住む著名な医学博士。
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雪舞い 芝木好子 新潮文庫
あらすじ
 築地の料亭「花巻」につとめる舞踊家・水野有紀は、地唄舞を心の支えとして生きてきた。そして病弱な彼女の弟・譲を鎌倉に療養させ週末だけ弟のもとに通っている有紀は、療養先の隣宅に住む日本画家・香屋雅伸と知りあった。香屋の妻・蔦子は目に見える敵意を見せていたが、有紀は次第に雅伸と愛し合うようになっていった…。

 作品の舞台
 谷(やつ)・・・譲の療養先となった慧寿庵、香屋雅伸邸、瑞相寺があります。
 小町・・・小宮健三邸があります。
 銭洗弁財天・・・雅伸と有紀は銭洗弁財天近くの鳥料理店に行きます。
 県立美術館・・・藤倉が館長をつとめる県立美術館で雅伸の展覧会が行われます。
 登場人物
水野 有紀 日本舞踊・山蔭流の新進舞踊家「山蔭有紀香」。29歳。築地の料亭「花巻」につとめる。
水野  譲 有紀の弟。25歳。画学生。肺結核のため先代「花巻」店主の鎌倉別邸「慧寿庵」で療養中。
徳子 「慧寿庵」で譲の世話をする女性。42歳。
香屋 雅伸 日本画家。40歳。「慧寿庵」の隣に住む。学者系の家柄。
香屋 蔦子 雅伸の妻。色白で肉感的な夫人。
香屋まゆみ 雅伸の姪。大学院生。
小宮 謙三 小町に住む雅伸の大学時代の友人。40歳。
小宮 孝子 謙三の妻。
花巻  延 「花巻」の女将。有紀にとっては母親的存在。
山蔭 瑞香 日本舞踊「山蔭流」の家元。有紀の師匠。
宗像 重人 「花巻」の馴染客。65歳。有紀の後援者。会社で倒れ、大阪市堂島の病院に入院中。
頼高 泰洋 「花巻」の馴染客。通称「麻布の殿様」。
立川 宗像の友人。赤坂の病院の院長。
宗像の友人。
伊部 柏の友人。銀行の頭取。
筧  志郎 雅伸の友人。彫刻家。
藤倉 次雄 謙三の友人。県立美術館の館長。美術評論家。
石渡 哲之 西銀座にある「石画廊」の若主人。
一柳 凌介 大学の美術講師。34~5歳。
住職 瑞相寺の住職。
風巻  宏 湯河原に住む陶芸家。35~6歳。
上原 卓次 有紀が営む料亭「雪の舎」の若い板前。25歳。
尾花みどり 雅伸・小宮の大学時代の友人。映画女優。
多摩 蔦子の友人。日本橋の呉服店の内儀。
附添婦 堂島の病院の附添婦。
秘書 宗像の秘書。
宗像の長男の嫁。
お手伝い 香屋家のお手伝い。
蔦子の茶道の弟子。