鎌倉・・・かな?
作品中には「鎌倉」という記述がありませんが、その描写や雰囲気、挿絵等で舞台が鎌倉と思われる作品です。
作品名 発行年
佝僂記 1929
星やどりの声 2011
海の見える街 2012
楽園ダイニング夏篠崎 奇跡、拾いました 2013
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佝僂記 渡辺啓助
(渡辺圭介名義)
ちくま文庫
あらすじ
 東京から絵を描きに折角この海岸にやってきた画家の野々宮三十郎だったが、付近が要塞地であるため写生が禁止され失意の日々を過ごしていた。そんな彼が目の前の崖の上に建つ洋館の窓をぼんやり見ていると、ぶら下がった足が映っているのを見つけた。そこで早速洋館に行ってみると、彼はそこにセムシ男の首吊り死体を発見してしまう…。

 作品の舞台
 鎌倉・・・三十郎が絵を描きに来た海岸のある街は、鎌倉の可能性があります。
作品上、「鎌倉」という地名はでてきませんが『この辺は要塞地になっていまして海も山も写生は一切ご法度ですが』という記述から、要塞地帯に含まれた地域の街と推測されます。当時、東京湾要塞地帯に含まれていた鎌倉は、写真撮影をするにも要塞司令部に許可をとらないといけませんでした。
 登場人物
野々宮三十郎 風景画家。
銀鮫信一郎 崖の上に建つ洋館「銀鮫荘」の住人。天文学者。せむし。
吉野みきえ 「銀鮫荘」の元家政婦。
矢羽瀬蘭子 みきえの姪。百貨店勤務。
野口 信一郎の財産管理人。
黒木ひとみ 「あけぼの舞踏団」の看板踊り子。
黒木 「近海潮流研究所」の小使。
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星やどりの声 朝井リョウ 角川書店
あらすじ
 星型の天窓から連ケ浜の町の夜空に広がる星の光を受け止めるようにと名付けられた純喫茶「星やどり」。ビーフシチューが看板メニューのこの店を経営するのは、母ひとりに三男三女の早坂家だ。子供たちは今日も元気に過ごしているのだが、それぞれに悩みや葛藤を持ち合わせているようで・・・。

 作品の舞台
 連ケ浜・・・早坂家が経営する純喫茶『星やどり』があります。
『「浜電」と呼ばれる電車が通る連ケ浜駅の大通りには商店街がある』という記述から、江ノ電の由比ガ浜あたりを連想させます。また作品中の各章の冒頭に使われている写真は、由比ガ浜や江ノ電の車内、小動のT字路の風景となっています。
 登場人物
早坂 律子 連ケ浜で純喫茶『星やどり』を経営する三男三女の母。
早坂 琴美 早坂家の長女。26歳。百貨店にある宝石店の販売員。しっかり者。
早坂 光彦 早坂家の長男。大学4年生。なかなか就職口が見つからないでいる。
早坂 小春 早坂家の次女。高校3年生。双子の姉。行動的でおしゃべり。学校の成績もイマイチ。
早坂 るり 早坂家の三女。高校3年生。双子の妹。小春とは性格も成績も対照的。
早坂 凌馬 早坂家の次男。高校1年生。テニス部員。
早坂 真歩 早坂家の三男。小学6年生。カメラで写真を撮ることが好き。
早坂 星則 律子の夫。三男三女の父。建築家。12年ほど前にガンで死亡。
早坂 孝史 琴美の夫。連ケ浜の町をパトロールする駐在所の警察官。
史郎 琴美たちの伯父。『星やどり』の常連客。
吉田あおい 高校1年生。凌馬の幼なじみ。光彦が家庭教師をしている。陸上部員。成績優秀。
遠藤 凌馬のクラスメート。同じテニス部員。
松浦ユリカ 高校3年生。あおいの陸上部の先輩。授業も部活もサボりがちだが、学業も陸上も成績優秀。
佑介 小春の彼氏。私立音大の2年生。連ケ浜駅前でストリートミュージシャンをしている。
高校3年生。小春のクラスメート。
千草 高校3年生。小春のクラスメート。
吉本 高校3年生。小春たちとは違うクラスの生徒。
圭一 大学4年生。光彦の大学のサークル仲間。
愛美 大学1年生。同じサークルのメンバー。
冨田  唯 真歩のクラスメート。隣の席の女子生徒。しっかり者で気が強い。母はPTA会長。
シホ 真歩のクラスメート。
ハヤシ 真歩のクラスメート。
川瀬 連ケ浜商店街にある「プリントショップカワセ」の店主。
大和 「プリントショップカワセ」で働くカメラマン。
羽賀 連ケ浜商店街にある床屋の店主。
武内 純喫茶『星やどり』がある土地の地主。亡父の知人。
ブラウンおじいちゃん 『星やどり』の常連客。いつも茶色のカーディガンを着ているため琴美たちからこう呼ばれる。武内の父。
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海の見える街 畑野 智美 講談社
あらすじ
 海が見える市立図書館で働く冴えないアラサーの本田。彼は7歳年下の女子職員・日野とともに司書として忙しい毎日を送っていた。ある日、同僚で同期の女子職員・和泉の産休に伴い、新たに派遣職員の春香が仲間に加わることとなった。本に興味がなく、自由奔放なスタイルで過ごす春香に最初は手を焼いていた本田だったが、彼女の生き方を見ているうちに次第に彼女への恋愛感情がめばえてくる・・・。


 作品の舞台
 鎌倉・・・本田たちが働く市立図書館があります。
作品中に「鎌倉」という文字は出てきませんが、表紙や挿絵は海岸線を走る江ノ電が描かれています。
 登場人物
本田 市立図書館職員。32歳。10年勤めているため大方の仕事を任されている。姉と妹がいる。
日野 市立図書館職員。25歳。シャーロックホームズと太宰治ともーれつア太郎が好き。化粧っ気がない。
和泉 市立図書館職員。32歳。本田と同期。産休育休中。本田が片想いしていた。
鈴木 春香 新しく図書館にやってきた1年契約の派遣職員。25歳。現代っ子気質で遠慮がない言動が多い。
松田 図書館と併設される児童館の職員。32歳。本田と同期。
斎藤 本田の実家の1階でインド料理店を営むインド人。本田の母の再婚相手となる。
日野 文也 日野の弟。22歳。会社員。
山崎 日野の幼なじみ。過去に日野とトラブルがあったようだが・・・。
カレン 山﨑の娘。3歳くらいの女の子。
莉緒 地区の学童クラブに通う女の子。
拓海 春香のアパートの近くにあるパン屋の息子。小学4年生。
紗希 春香の幼なじみ。
マメ 本田が飼うマメルリハ(インコ)。
ハナビ 日野が飼うミドリガメ。
デニーロ 春香が飼うウサギ。
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楽園ダイニング夏篠崎
奇跡、拾いました
樹生かなめ 角川書店
あらすじ
 鎌倉の海岸沿いにある『夏篠崎』は、元エリートサラリーマンの伸弥と、従兄の春希が営む隠れ家的ダイニング。店に通う常連客たちはみんな人生や恋愛に疲れた者ばかりで、店に来ては美味しい料理やマスターとの語らいで心癒され満足して帰っていく。そんなある日、伸弥は店の前で薄汚い男を助けるが、介抱して身なりを整えてみると、なんとその男が数年前に常連だったテレビ番組出演を突然辞め姿を見せなくなった有名占い師の名護廉雀だということを知った・・・。


 作品の舞台
 鎌倉・・・鎌倉の海岸沿いの『江ノ島電鉄沿線のある町(原文のまま)』にダイニング『夏篠崎』があります。
 登場人物
篠崎 伸弥 ダイニング『夏篠崎』店員。27歳。元エリートサラリーマン。
篠崎 春希 ダイニング『夏篠崎』マスター。32歳。伸弥の従兄。
名護 廉雀 有名な占い師。24歳。4~5年前から休業中。伸弥たちと出会った頃は「小田島信吾」と名乗る。
桜庭 真央 『夏篠崎』の常連客。店のマドンナ的存在だが、実は歌舞伎役者の櫻埜右京。
篠崎 夏希 春希の弟。24歳。
峰 慎太郎 『夏篠崎』の常連客。店の隣のビルにある『ミネ整骨院』の整体師。
翡翠 『夏篠崎』の常連客。女顔で華奢な体つきの占い師。
小西  猛 『夏篠崎』の常連客。出版社勤務。常連から評判が悪い。
村田 『夏篠崎』の常連客。詐欺師に騙されやすい性格。
宇崎 貴臣 夏希の同性の恋人。35歳。大手商社『宇崎商事』専務。
里奈 夏希の元恋人。
谷沢常次郎 大物代議士。廉雀のおかげで金権スキャンダルを回避した過去がある。
五代 正親 常次郎の第一秘書。
雅則 常次郎の妾腹。
高見 俊司 伸弥の友人。
長谷川美保子 俊司の友人。伸弥に片想い。
真理子 伸弥の元恋人。
丸山 拓也 伸弥が勤めていた会社の後輩社員。
結城 章大 廉雀の元マネージャー。
南原  功 大物代議士。