仁木悦子の作品
『猫は知っていた』で第3回江戸川乱歩賞を受賞、「日本のクリスティ」と称された車椅子の女性作家・仁木悦子の作品です。
作品名 発行年
二つの陰画 1964
幽霊と月夜 1967
冷えきった街 1971
肌さむい夏 1977
白い部屋 1980
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二つの陰画 仁木悦子 講談社
あらすじ
 広告代理店のカメラマン・櫟健介一家が暮らすアパート「満寿美荘」の大家・木岡満寿が自宅で密室状態の中、撲殺死体で発見された。満寿はアパート経営の他、高利貸も行い資産をため込んでいたため、親族による遺産争いが殺人動機と思われたが、彼女は生前に弁護士を通じて遺言状を作成していた。しかし、その遺言状には親類たちも会ったことがない船村瑠璃子という女性に全額遺産を贈与すると書かれていたのだ。そこで健介夫妻は親友で新聞記者の太刀川浩とともに彼女の死の謎を追うことになった・・・。

 作品の舞台
 鎌倉市役所・・・成宗弘蔵の以前の勤務先でした。
 登場人物
櫟  健介 アパート「満寿美荘」1階の住人。広告代理店「広宣堂」のカメラマン。あだ名は「タヌキ」。
櫟  知子 健介の妻。手芸が好き。
櫟  究介 健介の長男。まだ赤ん坊。
太刀川 浩 健介の親友。「日夕新報」記者。あだ名は「イタチ」。
木岡 満寿 「満寿美荘」の大家。高利貸しも行いケチで悪評が高い。
広畑まき子 満寿宅のお手伝い。
末永 茅子 「満寿美荘」2階の住人。満寿の姪。24歳。「鷹羽商事」のタイピスト。
猿丸 謙二 茅子の婚約者。「鷹羽商事」社員。左官屋の息子。
青谷  均 「満寿美荘」2階の住人。「木曜会」所属の画家。満寿の甥。足が悪い。
山内ゆかり 均の恋人。27~8歳。生け花の教授。
伊与野 「満寿美荘」2階の住人。世田谷区役所土木課吏員。50歳過ぎ。
伊与野貞子 伊与野の妻。おしゃべり好き。
鳥井 英二 「満寿美荘」2階の住人。病院勤務の薬剤師。
鳥井 政恵 英二の妻。英二と同じ病院に勤務する看護婦。
城山伊都子 「満寿美荘」2階の住人。洋裁学校の生徒。ひと月前に東北から引っ越してきたばかり。
笹原 武司 「満寿美荘」1階の住人。私立女子高校の社会科教師。37~8歳。
笹原美禰代 武司の妻。冷たい性格。
吉本 親夫 「満寿美荘」1階の住人。雑誌社「文化日本社」のセールスマン。推理作家志望。
由ノ木晴彦 「満寿美荘」1階の住人。21歳。L大法学部の学生。
掛川せい子 晴彦の異父姉。30歳。
田伏  誠 「満寿美荘」1階の住人。P大工学部の学生。
林  郁夫 「満寿美荘」の近所に住む小学6年生。幼い究介の遊び相手になってくれる。
林 美智子 郁夫の姉。高校2年生。
成宗 弘蔵 満寿の前夫。酒癖が悪く、鎌倉市役所退所後、日雇い労働者となる。
成宗 厚子 弘蔵と満寿の亡娘。18歳の時に心中事件をおこし死亡する。
船村瑠璃子 厚子の親友。30歳。顔に火傷の痕がある。
高部 惣一 厚子の恋人。23~4歳。中華料理店「春陽軒」の店員。厚子と心中し死亡する。
平川 静江 定山渓温泉の旅館「北斗荘」の女将。旧姓・梅田。元・瑠璃子の子守役。
木岡 善平 満寿の亡夫。事務用家具製造販売会社の経営者。5年前に病死。
青谷 均の父。表具師。
青谷 喜代 均の母。満寿の姉。茅子の伯母。
竹田 繁樹 吉本の中学時代の親友。整形外科医。
看護婦 竹田が勤める病院の看護婦。
速水 百枝 吉本の元恋人。田伏の部屋の昔の住人。
クリーニング店店員 「佐久間クリーニング店」の若い店員。まき子の恋人。
船村教授 瑠璃子の父。札幌に住むミッション系女子大学の老教授。
船村 はつ 瑠璃子の母。
船村 宣之 瑠璃子の弟。北海道大学の学生。
大川 伊都子の部屋の昔の住人。結核にかかり療養所で生活する。
広中 由ノ木の部屋の昔の住人。予備校生。
青年 高輪台マンションに住む青年。ボクシングジムに通う。
宣伝課長 札幌にある「M紡績札幌支社」の宣伝課長。
モデル 北海道出身のモデル。22~3歳。
おかみ 赤坂の小料理屋「すゑ」の女将。良家の出。
編集長 神田にある出版社「指紋社」の雑誌「指紋」の編集長。
少女 「指紋社」編集部員。18~9歳。
マダム 河田町のバー「マロン」のママ。
マダム 大塚のバー「マロン」のママ。関西弁で話す。
マリ 大塚のバー「マロン」のホステス。
ヒロ子 大塚のバー「マロン」のホステス。
ノリ子 大塚のバー「マロン」の元ホステス。
直美 大塚のバー「マロン」の元ホステス。睡眠薬自殺を図る。
美香 上板橋のバー「マロン」のホステス。
松林 板橋にある「松林整形院」の院長。
山下庸一郎 「山下法律事務所」の弁護士。
佐々木 「日夕新報」のカメラマン。
田中 「広宣堂」のカメラマン。健介の同僚。
花屋のおばさん 均のアトリエの近くにある花屋のおばさん。
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幽霊と月夜 仁木悦子 講談社
あらすじ
 財産家の未亡人・高堤小夜にとって、甥っ子の森田俊平はたったひとりのお気に入り。しかし、他の親類たちは小夜の財産目当てのご機嫌取りに必死になっていた。そんな夏のある日、いとこたちが小夜の所有する「松籟荘」に遊びに行ったのだが、館内で幽霊騒動がおこったため、小夜は俊平に頼んで調査してもらうことになった・・・。


 作品の舞台
 海水浴場・・・俊平は、鎌倉の海水浴場の海の家のバイトをする予定でしたが、小夜に頼まれて松籟荘へ向かうことになりました。
 登場人物
井野内清之助 実業家。死亡。
井野内セツ 清之助の一番目の妻。首吊り自殺で死亡。
高堤 小夜 清之助とセツの娘。資産家。夫は死亡。
井野内キサ 清之助の二番目の妻。死亡。
井野内弘之助 清之助とキサの長男。
井野内弘一郎 弘之助の長男。商事会社勤務。28歳。
井野内聡二郎 弘之助の次男。私大経済科学生。23歳。
井野内品子 弘之助の長女。花嫁修業中。20歳。
尾瀬満津枝 清之助とキサの長女。尾瀬家に嫁ぐ。夫は死亡。
尾瀬 栄吉 満津枝の長男。無職。26歳。
尾瀬登美枝 満津枝の長女。21歳。
森田佐知枝 清之助とキサの次女。森田家に嫁ぐ。夫は死亡。
森田 俊平 佐知枝の長男。
竹井 忠七 松籟荘の管理人。
竹井 汐子 忠七の孫娘。小夜の家に下宿している大学生。
赤木みずほ 小夜の家に下宿していた銀行員。2ヶ月前、踏切で飛び込み自殺。
近藤 小夜の家の家政婦。
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冷えきった街 仁木悦子 講談社
あらすじ
 学校経営で財を成した竪岡清太郎の家族に次々とトラブルがおこっている。まずは次男の冬樹が何者かに襲われケガをし、続いて長男の清嗣がガス中毒になりかけた。そして今度は長女のこのみに誘拐予告が来たのだ。そこで周辺を荒らされたくない清太郎は、警察に頼らず秘密裏に事件を調査し犯人を見つけてほしいと三影に依頼した。そしてこのみ誘拐の犯行予告日、竪岡邸に家族が集まり玉代の誕生祝いを始めようとしたその時、清嗣が何者かに毒殺されてしまう・・・。


 作品の舞台
 鎌倉・・・諸田敦彦宅があります。
 登場人物
三影  潤 「桐影秘密探偵社」刑事担当の調査員。
桐崎 秀哉 「桐影秘密探偵社」民事担当の調査員。
桐崎 桃子 「桐影秘密探偵社」秘書兼事務員兼会計係。旧姓・小田。
桐崎 祥子 秀哉の長女。2歳。あだ名は「サッチイ」。
竪岡清太郎 「白峰女子学園」理事長。60歳過ぎ。
竪岡 カツ 清太郎の一番目の妻。20年前に病死。
竪岡 清嗣 清太郎の長男。カツの子。38歳。「竪岡レディ・スクール」理事。別棟に住む。
竪岡 苗子 清嗣の妻。旧姓・諸田。勝気そうな顔立ち。
竪岡 清範 清嗣の長男。L大学付属小学校の3年生。肥満児。
竪岡志保子 清太郎の二番目の妻。11年前に病死。
竪岡 冬樹 清太郎の次男。志保子の子。G大学付属高校の3年生。反抗期。
竪岡 玉代 清太郎の三番目の妻。40歳前後。旧姓・北野。
竪岡このみ 清太郎の長女。玉代の子。幼稚園年長。
木田 竪岡家の運転手。35~6歳。柔道二段。邸内の別棟に住む。
木田の妻。
木田の子供。赤ん坊。
布施 平吉 清太郎の義兄。身寄りもないため、邸内の別棟の隠居所で暮らす。
黒井 初乃 竪岡家のベテラン女中。料理がうまい。
律子 竪岡家の若い女中。
女中 清嗣宅の通いの女中。口が軽い。
諸田真寿枝 苗子の母。清嗣の家に同居。60歳前後。
諸田 敦彦 苗子の兄。「城南銀行」本店預金部次長。鎌倉に住む。
諸田 幾世 敦彦の妻。
おばさん 真寿枝・敦彦・苗子が栃木に疎開した際に世話になった女性。
息子 おばさんの息子。荒川で運送店を経営。
沢野 清太郎の友人。喜多見で「沢野成人病クリニック」を開業。
沢野の妻。病院を手伝う。
坪川 慎二 志保子の異母弟。「明新製菓」社員。
小柳 「コヤナギドラッグ」店主。
永田ハルミ 元・竪岡家の家政婦。小柳の再従姉。
ハルミの姉。水戸に住む。
永田 ハルミの夫。食料品店「かつら屋」を経営。
斎木のぶ子 元・竪岡家の家政婦。養老院「静光園」に入居。
大畑 のぶ 「静光園」に入居する老女。
由紀枝 元・竪岡家の家政婦。出産の影響で死亡。
主人 豪徳寺駅近くの飲み屋「天狗」の主人。
直子 「天狗」の店員。
吉本 静枝 元・「天狗」の店員。現在は新宿のバー「ピリカ」のホステス。源氏名は「マリ」。
津坂 茂子 元・「天狗」の店員。
津坂 茂子の父。元・左官。現在は日雇い労務者。
檜山 朝子 玉代の女学校時代の友人。「ヒヤマ英会話教室」を経営。
朝子の友人。英会話教室の臨時講師も受け持つ。
高野文治郎 元・「白峰女子短大」経理担当。
井森  悟 JBCテレビディレクター。敦彦の高校時代のクラスメイト。
亀田 竪岡家近くにある「亀田電機店」の主人。木田の麻雀仲間。
店主 「沢野成人病クリニック」の近所にある書店の主人。
店主 成城学園前駅近くの洋品店の主人。
長瀬 冬樹の悪友。
樋田 冬樹の悪友。
松崎 冬樹の悪友の女の子。
主婦 M中学校裏に住む主婦。
花村 晶一 歌手。
岩井 浩治 「ニューワールド綜合探偵社」調査員。あだ名は「ゴジラ」。
巡査 豪徳寺駅前交番の巡査。
城山 「桐影秘密探偵社」と提携する分析の専門家。
清太郎の知人。清太郎に「桐影秘密探偵社」を紹介。
S子 三影の恋人。三影との結婚を望んている。ソーシャルワーカー的存在。
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肌さむい夏 仁木悦子 角川文庫
あらすじ
 昭和52年の夏、静岡の大学に通う森下は北海道の実家に戻る途中に、1年間の浪人生活を過ごした恵比寿にやってきた。彼が暮らしていたアパート「第2おおすみ荘」には未だに旧友の谷や玉井が暮らしていた。森下は彼らとここ1年の間の話をしていると、森下が大変世話になった一人暮らしの婦人・矢板加津子が逮捕されたことを知った。彼女はアパートの大家・大角新六を殺し、自首したというのだ。加津子は人が好くとても人を殺すとは思えないと思った森下は、独自に大角殺しを調査するが・・・。


 作品の舞台
 鎌倉・・・佳子と昌子が夏休みに遊びに行きます。
 登場人物
森下 静岡にある国立大学の1年生。元「第2おおすみ荘」の住人。
平  佳子 元・「第2おおすみ荘」の住人。森下の片想いの相手。現在は池袋に住む。
大角 新六 「おおすみ荘」の大家。妻子と別居中。
矢板加津子 「第2おおすみ荘」21号室の住人。病院の掃除婦。50代で独身。
今野 俊二 「第2おおすみ荘」23号室の住人。倉庫の夜警のアルバイト。作家志望。
広永さゆり 「第2おおすみ荘」24号室の住人。大学生。あだ名は「さゆり姫」。
「第2おおすみ荘」25号室の住人。浪人。実家は北関東の絹織物工場。
松田 「第2おおすみ荘」26号室の住人。L大学法学部1年生。
玉井 「第2おおすみ荘」27号室の住人。印刷会社のサラリーマン。独身。
富元 昌子 「第1おおすみ荘」12号室の住人。佳子の友人。
北村  透 丸中証券新宿支店の社員。元・ルソン島の野砲部隊の一等兵。
根岸 元・ルソン島の野砲部隊の一等兵。
若い男 佳子と昌子の遊び友だち。ショートパンツの大学生。
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白い部屋 仁木悦子 立風書房
あらすじ
  銃で撃たれ入院していた三影潤は経過も順調で、4人部屋の病室に移動していた。病室には男性患者たちが過ごしていたが、その中の一人・石岡が昨年の秋、竪木神社の秋祭りの日に病院近くでおきた未解決の殺人事件のことを話しだした。すると暇を持て余している入院患者たちは、同室の患者・桃井の弟・晴司に周辺情報を集めてもらいながら、患者たちは事件を解決しようとする。情報によると志免吉は孫娘・菅悠子の婿相手を探していたようで、育ちの良い資産家の息子たちと付き合いを増やそうとしていた。すると、同室の患者・神保の息子・得也が、悠子と恋中だと告白し始めた。


 作品の舞台
 鎌倉・・・牟礼家の土地がありましたが、処分してお金を作ります。
 登場人物
三影  潤 「桐影秘密探偵社」の刑事担当調査員。銃で撃たれ入院中。
神保 三影と同室の入院患者。既製服メーカーの夜警。60歳半ば。
桃井 三影と同室の入院患者。サラリーマン。30歳代。
石岡 三影と同室の入院患者。運送会社のトラックの運転手。24~5歳。
桃井 晴司 桃井の弟。
瀬上志免吉 碑文谷1丁目で一人暮らしをする裕福な老人。76歳。
菅  悠子 志免吉の孫娘。23~4歳。
中江 とみ 瀬上家の家政婦。60歳代。
白井 瀬上家の近くにあるアパート「えのき荘」の住人。石岡の友人。城西大の学生。
山内 「えのき荘」の住人。北陸の県議の息子。
沼中 「えのき荘」の住人。静岡の開業医の長男。
牟礼 顕久 「えのき荘」の住人。父が元・子爵。P大学法学部の学生。
神保 得也 神保の長男。悠子の恋人。エンジニア。
笹塚 志免吉の友人。元・陸軍の軍人。
城間 志免吉の友人。他家の小間使いをしていた。
喜多沢道介 東京の下町の工場長を父に持つ青年。
中年男 石岡と桃井が退院後に入院してきた男。
看護婦 小柄で人気のある看護婦。
看護婦 眉間にけんのあるおっかない眼鏡をかけた看護婦。